塩田平便り:大豆の脱穀と野菜の保存

 先週塩田平に初雪が降りました。幸い雪だったのは朝の少しの時間だけで、すぐにみぞれまじりの雨に変わり、積もることはありませんでした。ここのところ雨がちで、夜は寒いものの昼間は気温が上がることも多い日々です。秋に時間が無くて充分間引き出来なかったので、大きくなっていない大根も沢山あります。作物が育ち続けてくれることはありがたいことです。ただ、雨がちだと水分が下がらないので、最後に残った田んぼの脱穀が出来ず、困っています。その一方で、夜は段々寒くなって来ました。今畑に残っている野菜で、寒さに一番弱いのも大根です。いつ大根を収穫するか、毎年12月の悩みです。

 冬の寒さが厳しい塩田平では、冬の間収穫できる野菜はほとんどありません。越冬できるネギも、土が凍りついて抜けないので、食べることができません。白菜や大根、ネギなどの野菜は、冬の初めに収穫して保存し、冬の間はそれを食べていきます。保存が難しい野菜は野沢菜のように漬物にして保存します。野菜を収穫しても、暖かい日が続くと、野菜が痛んだり、漬物が醗酵し過ぎて保存性が下がったり、おいしくなくなってしまいます。だから寒くなって保存に適した気温になるまでは、野菜を畑に置いておきたいわけです。でも気温は少しずつ下がって行くわけではありません。時々1日だけ急に寒くなる日があったりします。そこで凍結すると、保存しても腐ってしまうのです。

 近所の家々で、野沢菜を収穫したり、漬けたりする光景が目立つようになりました。毎晩のように霜が降り、気温も下がって来たので、漬け時になったということでしょう。大根もほとんどの家で収穫が終わったようです。というわけで、わが家でも、大根と野沢菜の収穫を急がねばならないのですが、大きな問題があります。冬の間の野菜の貯蔵庫も兼ねているわが家の物置が、物で一杯なのです。震災/原発事故の混乱と、色々な物を備蓄した影響です。収穫しても、温度が下がり過ぎない屋内に入れておかないと、夜になれば凍ってしまいます。そう言えばジャガイモも屋外で保管したままでした。これも屋内に移さなければ、凍って腐ってしまいます。先日、ごく一部ですが、凍った大根が出ました。

 さすがに待った無しになって来たので、物置の大掃除を決行しました。米袋がネズミに襲撃されているのが発見されたりしましたが、とりあえず野菜が入る場所はできました。必要な野菜にアクセスできる状態に整理するには、もう何日かかかりそうですが、まずジャガイモを収容し、大根も段ボールにいくつか収穫することができました。畑にはまだ大量の大根と野沢菜が残っていますが、とりあえず一安心です。次に冷え込むまでに、出来るだけ収穫してしまいたいものです。大豆も先週末、関東の友達が手伝いに来てくれ、無事脱穀が完了しました。草だらけになってしまったので、収量は40キロ位でした。鶏の餌にするほどはありませんが、味噌を造るには十分な量です。

 薪割りは相変わらず泥縄ですが、それ以上に困った事態が起こりました。塩田平の近くで、薪から基準以上のセシウムが検出されたのです。安全が確認された薪以外は焚けなくなってしまいました。わが家の主暖房はペチカなので、大変困った事態です。とりあえずは、何かを作るのに使おうと思っていた廃材があるので、それを切って焚いてしまえば何とかなりますが、一冬では大量の薪を使います。薪はあちこちから集めるものなので、かなりの数を検査しなければなりません。県の説明では、東電に補償を聞けとのことですが、忙しい中困ったことです。群馬県の有機農家からも悲鳴が届きました。全量検査して安全が確認できたのに、注文が無くなってしまったそうです。サイトをご覧の上、出来ればお米を買ってあげて下さい。

群馬県浦部有機農園からの手紙
http://www3.ocn.ne.jp/~oriza/tayori/tayori51.html

浦部有機農園
http://www3.ocn.ne.jp/~oriza/

塩田平便り:冬に向けて最後の準備

 塩田平も段々寒くなって来ました。夜が冷え込んだ日は、朝起きると真っ白に霜が降りてきれいです。その霜も、陽が射し始めるとあっという間に消えてしまいます。ペチカを焚いておけば家の中は10度以下にはならないので寒くないのですが、相変わらず薪割りの時間が取れません。自分で焚くときは、四寸角の端材をそのまま焚いてしまえるのですが、パートナーは割った薪でないとうまく燃えないので、出張前に30分ほどかけて2日分位を割ってお茶を濁しています。先週末は村の団体の観光旅行だったので、農作業はお休みでした。普段出張が多いので、村の人と良く知り合う機会は貴重です。次の週末は村の忘年会です。

 天気の良い日の昼間は暖かく、田畑での作業の際、上着を着ていると汗ばんでしまうほどです。まだ芽が出るかもしれないので、父に週末に葉菜類の種を蒔いてもらいました。今のところ発芽していませんが、もう少し様子を見たいと思っています。水分が高かったお米はあいかわらず水分が高いままです。間もなく雨の予報なので、また水分が上がってしまいます。仕方ないので1枚の田は仕事の合間に、2日がかりで脱穀してしまいました。収量は米袋1袋だったので、玄米にして20キロあるかないかですが、貴重な追加の収穫でした。これで残った田は1枚だけです。天気との相談ですが、半日あれば脱穀してしまえる量なので、本格的に寒くなる前に片付けたいものです。

 大豆は先週末に高校の先輩が手伝いに来てくれ、パートナーと2人で全部刈り取ってくれました。残った大豆の半分位は、幸い雑草が少なく、比較的簡単に収穫できたとのこと。早速大豆の脱穀機を借りようとしたいのですが、別の地域で予約が入っていて、しばらく帰ってこないとのことでした。次の週末には借りることができますが、その前に雨の予報です。シートをかけてありますが、無事予約した日に脱穀できると良いのですが。米も大豆も11月中に脱穀を終えたかったのですが、残念ながら12月に入ることになってしまいました。

 野沢菜も、そろそろ漬けたいのですが、まだ最初のひと桶で足踏みです。最初の桶は幸い水が上がってくれたので、本当は押しを軽くしたいのですが、そこまで手が回りません。野沢菜は既に何度も強い霜に当たったので、漬けるのを急ぎたいところです。せっかく大きくなってくれているのですが、寒くなると枯れて行ってしまうのです。それなりに沢山作ったので、100キロ単位で野沢菜漬けが出来てしまう予定です。今週白菜や大根などを17箱被災地に送りました。冬になって野菜が少なくなったら、野沢菜漬けや沢庵を送りたいものです。野菜はあるのですが、漬ける時間があるかどうかが最大の問題です。

塩田平便り:思ったより大豆が収穫できそうです

 1週間ほど前に初霜が降りた塩田平ですが、その後強い霜も何度か降りました。日によっては夜は氷点下まで下がり、氷が張っています。秋が暖かかったので、例年より良く育っている野沢菜も、何度か霜に当たったので、そろそろ漬け時かもしれません。先週とりあえずひと桶だけ漬けましたが、水の上がりが今一つで、呼び水を差して様子を見ているところです。先週始めた薪割りで、しばらく保つと思ったのですが、ペチカを焚く時間が長く、追加の薪割りが必要になりました。今週も、薪の山を整理して、そのままストーブに入れられる大きさのものを家に運びました。割った方が良く燃えますが、このままでも焚けるので当分薪の心配をせずにすみそうです。

 先週と今週の2度、脱穀しないまま田んぼに残った稲の水分を計ったのですが、残念ながら雨で水分が上がってしまい、脱穀はできませんでした。それならと、大豆の収穫を始めることにしました。大豆も乾燥しないと莢から豆が取れないのですが、お米に比べればはるかに量が少ないので、若干水分が多くても日に干したりするのも簡単です。山の畑に作った大豆は、すっかり鹿に食べられてしまいましたが、家の近くで作った大豆は大丈夫でした。ただ、秋に入って除草の余裕が無く、かなり草に覆われてしまったので、収量は期待出来ないと思っていました。何しろ、横の道を通る時に横目でちらっと見る以上の余裕が無く、畑に入るのも2カ月ぶりと言う困った状態だったのです。

 畑の1/3ほどは、最後にもう一度除草したのでそこだけは少し収穫できるかと期待していました。畑に行ってみると、嬉しいことに、残りの部分もそれなりに実を付けてくれていました。もちろん大した収量ではないでしょうが、味噌を造る位は出来そうです。収穫と言っても、雑草の方がはるかに多いので、刈払機で雑草ごと刈り倒します。刈り倒した雑草をかき分けて大豆を探し出して集めるという、かなり面倒な作業です。労働力はあまり無いのですが、わが家総出で、知人にも手伝ってもらったりして、2日がかりでやっと半分刈り終わりました。段々草の方が増えて行くので、なかなかはかどりません。農協に大豆の脱穀機を借りる予約をしていたのですが、延期しなければなりません。

 冬野菜は順調に育っているようですが、講演などあって忙しく、あまり状況が把握出来ていません。また毎年のことですが、断熱が甘い部分を工事しようと断熱材を買ってあるのですが、工事する間もなく冬になってしまい、凍えているうちに春になってしまう、ということを繰り返しています。特に自分の部屋の床だけが断熱されていない上に家全体の空気の通りから外れていて、あまりペチカの熱が回って来ません。ストーブが無くてもやって行けないことはない程度なのですが、今年こそ断熱材を入れてしまいたいところです。手作りは手間暇かかりますが、大きな目標でもあるので、今年は何とか少しでも進めたいと思っています。

塩田平便り:大失敗の連続の中、玉葱を植え終わる

 塩田平も少しずつ寒くなって、そろそ冬が近づいています。例年なら10月からペチカに火を入れ始めるのですが、ペチカの煙突掃除や薪の準備が後回しになっていました。仕事もそれ以外も、畑も、ここのところ目が回るほど忙しかったのです。予定を入れ過ぎてスケジュールの調整に失敗し、村の自治会の旅行に行き損なってしまい、皆さんに迷惑をかけてしまいました。新しい予定を入れようとして、「あれ、こんな時間取れたっけ」と思った時に確認するべきでした。大失敗です。電子カレンダーでは無意識のうちに予定が消えてしまう危険があることを忘れていました。楽しみにしていた旅行に行き損なってしまい、大変残念でした。

 10月下旬暖かかったので、冬支度は手つかずでした。11月になって寒くなり始めても、ペチカを掃除する時間がありません。10月末から植え始めた玉葱の苗を、寒くなる前に植え終わらないと、来年収穫できないからです。老人達はそれぞれ自分の部屋にガスストーブがあるので、とりあえずそれを使ってもらっていました。玉葱はいろんな方に助けてもらい、旅行に行けず時間が取れたこともあって、先週末で何とか植え終わりました。針のような細い苗も植えたので、全部で1万本弱植えたことになります。早速冬支度に取りかかりたいところですが、稲刈も1割ほど残ったままになっています。まずは稲刈からというわけで、早速様子を見に行って、呆然としました。

 1カ月前まで山の田で首を垂れていた稲穂が全く見当たりません。稲の茎葉は残っているのですが穂がありません。田の隣の畑に植えてあった大豆にいたっては、茎ごと地上から全て無くなっています。全部鹿に食べられてしまったようです。この週末二度目の大ショックです。電柵を張っておいたので機械の様子を見に行くと、電柵は動いています。お隣の田んぼの収穫が終わり、お隣の電柵が撤去されてしまったので、そこから入ってしまったようです。時期的に、山に食べるものが少なくなって来たことも影響しているのでしょう。もっと早く刈り取るべきだったようです。先週末2度目の大失敗でした。

 稲刈の必要がなくなったので、週末に薪割りとペチカの掃除をする時間が出来ました。3年ぶりのペチカの掃除です。前回掃除した時に、それほど煤が溜まっていなかったので、何年かに1度やれば良いだろうと思っていました。煙突の煙の流れを調節するダンパーがうまく動かなくなっていましたので、そこだけ掃除すれば良いと思って、掃除口を開けてみて驚きました。中に煤が一杯です。ペチカは煙突より大きいとは言え、取った煤がゴミ袋に一杯になりました。ダンパーに詰まった煤には掃除口から手が届かず、完全に動くようにはなりませんでした。薪と一緒に燃して、煤を取り除くクリーナーを注文して、様子を見ているところです。

 薪の材料は山のように積み上がっているのですが、1年以上雨ざらしで、乾燥しているか怪しい状態です。幸い製材所で出た建築端材をもらってあります。乾燥材で1年以上放置してあるので、乾燥しています。2メートル近く積み上げてある山によじ上り、焚きやすい大きさのものを探し出し、ペチカの焚き口に入らない大きなものは斧で割りました。秋の夕日はつるべ落としで、薪が用意できたのはコンテナに5箱でした。5箱では今週中に燃してしまうでしょうから、今後の分も早く準備しなければ。針葉樹なので簡単に割れますし、薪割りをしたのは15分ほどですが、久々の薪割りで普段使わない筋肉を使ったらしく、肩の周りが痛みます。日々薪割りに励めば、慣れて痛むこともないということでしょう。

 早速ペチカにこの冬初めて火を入れてみましたが、煙突の通りは上々のようです。そうそう初めてと言えば、先週初めて新米を精米しました。早速いただきましたが、新米はこれまで食べていた古いお米と比べると、驚くほどおいしく、自分でも吃驚しました。もっとも、これまで食べていたのは2年前に穫った古米で、しかも原発騒動で春先に大量に精米してしまい、酸化も進んでいた米ですから、夏以降は自分でもあまりおいしくないと感じていたものでした。農家にとっては米は生命線ですので、古い米も含めて食用も籾用も備蓄し、常に1年分程度の余裕を持ちたいと思っています。そうすると、常に1年以上前の米を食べることになるわけですが、1年以上の備蓄が出きることの方がありがたいことだと思っています。

塩田平便り:引き続き玉葱一色の日々

 塩田平の周りの山々も、すっかり紅葉しました。残念ながら先週も出張や行事が多く、たまに塩田平に居ても曇りや雨が降ったりで、紅葉も今ひとつくすんでしまっていました。でも昨日今日は日も射し、作業の合間に紅葉を楽しむことができました。段々気温も下がって来ますが、冬支度はこれからです。ストーブの用意やペチカの掃除をしなければなりません。早くやった方よいと思い続けながら、まだいいか、と手つかずです。寒くなって慌ててやるのが、毎年のことなのです。薪割りや薪の整理もこれからで、先が思いやられます。

 幸い薪自体は、いろんな方からいただいて山のように積み上がっています。切ったり割ったり乾かしたりが必要ですが、1年以上積んだままの製材端材の山があるので、当面寒い思いをする心配はありません。近くの畑に片隅においてあるので、ちょっと片付けて、家の方に運んでくるだけです。だからいつでも出来ると思っていると、だんだん寒くなって来ました。玉葱もまだ植え終わっていないし、どっちからやろうか、というところです。玉葱は、高校の先輩も手伝いに来てくれ、半分強植え終わった感じです。今の感じでは、準備した畑がやや不足する気もしますが、玉葱の苗は掘り取って植えてみるまで何本あるか分かりません。植え終わってみれば足りているかもしれません。

 とにかくせっせと玉葱を植えることです。明日も手伝ってくれる人が来てくれるので、少し進みそうです。畑の他の作物も順調に育ってくれています。小カブの間引き収穫が始まり、法蓮草も大分大きくなりました。キャベツは大きくなり過ぎるほどです。大根も普通の大きさに近づいて来ました。大根や白菜は保存して冬中いただきますので、あまり早く大きくなってもらっても困ります。気温が下がるまでは保存できないし、畑に置いておくと、大きくなり過ぎてスが入ってしまうからです。それに、大根は大き過ぎると保存性も下がってしまいます。秋の気温が高めなので、大きくなり過ぎる方が心配になって来ました。

 11月に入ってもそれほど気温が下がらず、本格的な霜もまだです。それでも夜の気温が下がって来たので、寒さに弱い南瓜や薩摩藷を屋内の比較的暖かいところに整理しました。全部で300キロほどあります。もちろんわが家だけでは食べきれません。原発被災地への支援物資として、定期的に送る予定です。もう少し余裕があれば、夏野菜を片付けて、佃煮にしたりしたいのですが、当面スケジュールがびっしりです。もう何日か霜が降りなければ何とかなりそうですが、こればかりはお天気任せです。暖か過ぎても冬野菜が育ち過ぎてしまうので、天に任せて文句を言わないのが一番のようです。

塩田平便り:玉葱を植え始めました

 秋が深まっているにしては、何となく暖かい塩田平です。11月に入ったのに、まだ初霜が降りません。高いところにある畑に残してあった薩摩藷の葉が少し枯れてしまったところを見ると、場所によっては弱い霜が降りたのかもしれません。好天のおかげで、10月中旬までは生育が今ひとつかな、と思っていた玉葱の苗も立派な大きさに育ちました。ネギやニンニクなど、葉が細い野菜は雑草に弱いのですが、今年は家の近くに苗床を用意できたおかげで父が除草してくれたことも、良い苗に育ってくれた理由でしょう。稲刈も少し残っていますが、先週から玉葱を植え始めました。

 何人かお手伝いして下さる人がいて、用意した畑の1/4位植え終わりました。苗は1/6ぐらいしか掘り取っていません。このままだと畑が足りなくなるので、もう少し用意しなければならないかもしれません。今年は減反田があるので畑にはずいぶん余裕がありますので、時間さえあれば用意するのは簡単です。ただ、苗も場所によってずいぶんまばらにしか生えていないところもあります。実際に苗を掘り取って植えてみないと、どれ位畑が必要か分からないところがあります。普通は畑を決め、苗を多めに作り、成長の悪いものを捨ててしまうのですが、針のように小さな苗でも、つい植えてしまいます。

 父にも手伝ってもらって玉葱を植えている時に、幼稚園のバスが到着しました。園児達が薩摩藷を掘りに来て大騒ぎです。

薩摩藷を掘る子供達

 お手伝いしている幼稚園に、毎年薩摩藷を掘りに来てもらっているのです。今年の薩摩藷は大きくなったので、子供達も満足したことでしょう。後で子供のお母さんから「早速蒸かしていただきましたが、家のおじいちゃんが作っている薩摩藷よりおいしかった」と嬉しい言葉をいただきました。来週焼芋大会をするそうです。残った薩摩藷を掘り取ってしまい、玉葱を植えることになるかもしれません。まずは用意した畑にせっせと玉葱を植えて、どれ位苗が残るか確認するところからです。

 大豆も雑草に埋もれていますが、稲刈と玉葱が優先なので運が良ければ収穫できるかといったところです。夏野菜も霜が降りる前に収穫できれば無駄になりません。色々な方に助けてもらい、比較的順調なような気がしていましたが、やはり追いついていないようです。でも嬉しいことに、キャベツや大根、白菜、野沢菜と言った秋野菜の生育は順調です。ニンニクも父が植えてくれていますが、豌豆や空豆など、他の冬越しの野菜の種蒔きまでは手が回っていません。次の週末も農業に専念したいところですが、結婚式で出かけてしまいます。来週以降もしばらく霜が降りないよう祈っているところです。

塩田平便り:沢山の協力で大分追いつきました

 先週末塩田平は雨の予報でした。雨で稲刈が大変だった去年と違って、今年の塩田平の秋は好天に恵まれて来ました。ある意味のんびり稲刈をしてきたのですが、雨が降ると乾燥するまで脱穀できなくなります。一番大きな田んぼで稲架に掛けている稲の乾燥がちょうど良い位です。雨の前にと、軽トラックのライトを照明代わりにして、夜8時までかかって何とか脱穀を終えました。これで、稲刈が9割、脱穀も7-8割が終わったことになります。時間が無くて正確な計量はしていませんが、大体の見当で7俵位の収穫でしょうか。

 後で藁を回収したとき、大分お米が残ったままの稲束もありました。ほとんど見えないまま脱穀機にかけてしまったので、ある程度は仕方ありません。まだ刈っていないぬかるみの稲も残っているので、選り分けて、一緒にもう一度脱穀機にかけることにしました。稲刈も後少しです。本当は引き続き稲刈を進めて、終わらせてしまいたいのですが、お留守になっている畑の方がそろそろピンチです。玉葱やニンニクの植付け、ネギなどの野菜類の種蒔きを、出来れば10月末、遅くとも11月初めまでに追えねばなりません。

 種蒔きや植付けの前に、畑を用意しなければなりません。玉葱を植える予定の畑には、もう収穫期を過ぎてしまった南瓜と薩摩藷が残っています。まず収穫して片付け、肥料を撒いて耕さなければなりません。そもそも塩田平では、10月下旬には初霜が降ります。強い霜が降りると夏野菜は枯れてしまいます。他の夏野菜もその前に片付けなければなりません。今年は田んぼで手間取っているので、畑の方は開店休業状態です。それでも、先週末には近所のお母さん達が、福島に送る野菜の収穫に来てくれました。多めに種を蒔いて間引き収穫するやり方なので、ちょっと手間はかかりますが長期に収穫できます。

 週末は行事で旅行でした。午前中農作業していたら雨になってしまい、天気予報では翌日も雨。旅行としては良くないものの家に居ても農作業は出来ないのでちょうど良かったと思っていました。ところが翌日は晴れ。しまったと思ってももう遅いわけですが、何と旅行の参加者全員が帰りにうちに立ち寄り、農業を手伝ってくれました。1時間強のお手伝いだったのですが、15人の力は大きく、僕の2日分以上片付いてしまいました。南瓜と薩摩藷の収穫がほぼ終わってしまったのです。それぞれコンテナ8個位。計量していませんが、150キロずつ位は収穫できたようです。

 月曜日も手伝いに来てくれる人がいて、週末に南瓜を収穫した後の雑草を刈ってくれました。これで玉葱の植付けに近づきました。おかげで余裕ができたので、ニンニクとネギの植付け準備をし、葉菜類の種蒔きも出来ました。薩摩藷はもう1畝あって、こちらも150キロ位収穫できそうです。ただ、ボランティアをしている幼稚園の園児達が例年通り掘りにくるので、まだ収穫できません。子供達が掘った残りがわが家の収穫です。子供が掘った残りは、支援物資として、定期的に福島に送りたいと思っています。

塩田平便り:お米を沢山収穫しようとすると

 塩田平もすっかり秋らしくなりました。今週に入って気温が低い日があり、周りの山々が急に色づいて来ました。今月初め以来、暇さえあれば稲刈と脱穀に励んでいますが、当然のことながら出張や雨もあり、稲刈は8割、脱穀は3割終わったところです。稲刈が終わっていないところは、水が抜けず稲刈機がハマってしまうので、手刈りしなければならないところが中心です。手刈りも半分位は進んだでしょうか。でもまだまだかかりそうです。今週中に終わらせるのが目標でしたが、ちょっと厳しそうです。これまでに脱穀したお米の量は2俵ちょっとです。これまでは早生や生育が悪く収量が低い田んぼばかりなので、今後の収量が楽しみです。

 今年は少しでも沢山収穫することが目標なので、稲刈や脱穀に手間をかけている分進行が遅くなっています。稲刈の時にうまく束ねられていないと、脱穀機にかけてもうまく脱穀できないので、脱穀時に無駄が出ないように束を一つ一つ整えてやらなければならないのです。田んぼがぬかって稲刈機がよろめいたり、雑草が多くてうまく刈り取れないと、ちゃんと束ねられていないのです。雑草が沢山生えてしまったので、その対応だけで手一杯です。時間がかかっていても手が回りきれず、田んぼは落ち穂が一杯です。余裕ができれば落ち穂拾いをしたいところですが、例年のように鳥に進呈することになるかもしれません。

 福島の原発事故現場に近い小学校に、給食用の野菜を送って欲しいという話があり、今週末に収穫して発送の予定です。これまでも福島のいくつかの団体に送っていますが、そのためにも、少しでも収穫を増やしたいと思っています。残念ながら時間があまりないので、今以上はなかなか難しいのですが、地元で手伝ってくれる人も出て来ました。長期戦なので、少しずつ収量を増やして行きたいと思っています。今年も忙しかったのですが、それでも田んぼに時間を割けた方でした。ご協力いただいた皆さんのおかげです。気象条件やスタートの遅れもあって、今年は失敗も多く、手がかかった割には収量は今一つだったかもしれません。でも、こうした動きが少しずつでも集まることで、ちょっとずつ安心できる世の中になって行くように思います。

 たまたまですが、近くの田んぼと畑を来年作って欲しいという話があり、二つ返事で引き受けました。自分でも、そんな時間あるのかよ、とも思うのですが、それは来年までに考えれば良いでしょう。細かいことは色々ありますが、今の日本に比較的汚染の少ない耕地を遊ばせておく余裕があるとは思えません。ここで一粒作れば、汚染された作物が一粒人の口に入らなくなり、東電に買い取ってもらうことになるでしょう。細かい問題は色々あるでしょうが、基本は良い食べ物を少しでも沢山作ることではないかと思っています。皆さんのご意見もいただければと思っています。

塩田平便り:稲刈の途中で今年初めての脱穀

 この1週間、塩田平の多くの田んぼで脱穀の風景が見られました。周囲のお米の収穫は終盤に差し掛かっています。脱穀するということは、稲架掛けして天日乾燥したということです。最近はコンバイン収穫が増え、天日乾燥は大分減ってしまいました。それでも自家用米を中心に、食味で勝る稲架掛けもかなり残っています。コンバインで刈れば楽ですが、エネルギーを使って機械乾燥する必要があるので、エコとは言い難く、わが家では全て天日乾燥です。直播き有機栽培のわが家の田んぼは時期がずれるので、今が稲刈の真っ盛りです。先週から色々な人が手伝いに来てくれて、少しずつ進んでいます。倒伏がひどかったことと雑草に阻まれて、2週間かかってやっと半分刈り終わった感じです。

 天日乾燥の場合、乾燥の進み具合はおひさま次第です。お米の水分は食味や保存性に大きな影響があるので、最適な水分で脱穀する必要があり、頻繁に水分計で計って適期を逃さないようにします。だから稲刈は週末中心ですが、脱穀は週末以外もよく見かけます。わが家でも最初に実った稲の乾燥が進んだので、昨日は今年初めて脱穀をしました。小さな田なので1時間強で脱穀が終わりました。残念ながらあまり出来の良くなかった田だったので、収量は前回の7割。反収に換算して240キロと、江戸時代並みの収量でした。前年作った大豆の残肥の予想が外れて肥料過多になってしまい、栄養成長が止まらなかったのが原因です。

 お布団農法が成功して、雑草がほとんどなかったのに、収量が穫れないとは思っていませんでした。有機栽培では、肥料過多になるほど肥料を施すのは大変なことなので、これまで肥料過多はほとんど経験したことが無く、稲が大きくなって喜んでいただけなのが失敗でした。葉の色が濃過ぎること、つまり窒素肥料が多過ぎることには気付いていたので、その段階で中干しなどでコントロールすべきでした。窒素過多で一部にいもち病が出てしまったのも、収量が少なかった一因でしょう。前作の影響を考えて、反当窒素量で2キロ減肥したのですが不十分でした。無肥料でスタートして追肥で調整すべきだったようです。

 先週末は東京の母親や社員も手伝いに来てくれ、一番大きい、と言っても1反ちょっとの田んぼの稲刈が半分終わりました。稲架にも掛け終わり、稲束が並んでいるのを見ると、進んだ気がします。実際には残りの半分に、水の抜けが悪くてぬかるんでしまい、稲刈機が入れない部分があります。これがどの程度の範囲かが、今後必要な日数に大きく影響します。週末まで仕事で稲刈が出来ないのですが、週末に掛けて雨の予報です。雨が降ればぬかるみが広がってしまい、苦戦が予想されます。まもなく10月も半ばです。米以外に野菜も最後の蒔き時なので、こちらもやらねばならないのですが、稲刈が予想以上に手こずっているので、バランスを考えねばならないようです。

塩田平便り:わが家の稲刈も始まりました

 先週末で、塩田平では多くの田んぼで稲刈が終わりました。コンバインでの刈り取りが増えて来ましたが、まだ稲架に干している田んぼも結構あります。稲刈と平行して、もう脱穀している田んぼも目立ちました。稲刈の適期には幅がありますが、脱穀はお米の適切な水分の幅が狭いので、ウィークデーにもあちこちで脱穀している風景が見られました。先週の土曜日に原発事故の学習会の講師を務めたので、その準備で田んぼまでは手が回らず、わが家の稲刈は日曜日から始まりました。でも学習会の後、もう暗くなって来た田んぼに寄って、稲穂のサンプルを取って来ました。

 穂に付いている籾のうち、まだ完全には成熟していない籾が10%から2%の間で刈り取るのが良いと言われています。最初に稲刈する予定の田んぼ2枚の稲穂から籾を取って数を数えました。それぞれ未成熟籾が8%と7%で、ちょうど良い状態です。気温が低めなので乾燥が進むのに時間がかかるでしょうから、何日かかかっても大丈夫です。翌日曜日に早起きして、準備を始めました。少し時間が空いてしまったので、田んぼまでの農道が雑草だらけで農機を運ぶのが危険です。大きなトラックに、稲刈機(バインダー)と運搬車、稲架の材料に加えて、草刈機も積み込みました。準備に結構かかってしまいました。

 田圃に到着して、まず草刈機で農道の草刈からです。農道が通れるようになったので、バインダーを降ろして2人で稲刈を始めました。初めて使うバインダーだったこともあり、最初はトラブル続出です。バインダーは名前の通り、稲を束ねて縛ってくれます。実は刈るより縛る方が大変なのです。縛るのに使うバインダー紐の新品を用意する時間が無かったので、昨年の使いかけを使ったのがいけなかったのか、紐が絡まったり、結束ミスが続出しました。最初の目論見では、余裕で2枚とも刈り終わるかと思っていましたが、初日には上の1枚を刈り終えただけで、下の田んぼにバインダーを降ろし、端の方を2列刈ったところで暗くなりました。

 2日目は1人で稲刈で、午後は父を医者に連れて行く予定です。しかも下の田んぼは3割位に雑草の稗が大量に生えています。ただ生えているところは刈り取りの邪魔になる稗を鎌で刈れば良いのですが、稗は稲より成長が早く、倍位の高さになった上で周りの稲を巻き込んで倒伏します。試行錯誤の末、全部手刈りして稲を選り分けた方が早いことに気付きました。ほとんどが稗です。倒伏した稗の半分位刈ったところでお昼になりました。病院から帰って来て、暗くなるまで2時間ほど父が手伝ってくれましたが、全然終わりません。ひたすら稗を刈り続けた1日でしたが、稲が立っているところにバインダーが進めたので、そこを刈って稲架を立てることができたのが前進でした。

 最初の田んぼだけで3日目に突入してしまいました。朝から父と2人で始め、午後からはパートナーも参加して3人掛かりで頑張り、真っ暗になることにやっと一段落しました。バインダーで刈り損なった稲がもう少しと、水が抜けなかったのでバインダーが入れない部分の稲が残っています。上の田んぼに稔るのが遅い品種の稲も植えてあり、その稲刈に来た時に一緒に刈ることにして、バインダーを持ち帰りました。次の田んぼを刈ってしまいたいからです。家の近くに小さな田んぼがあり、倒伏はしていますがお布団農法が成功して雑草はありません。1日かからずに刈れると思っていましたが、朝から曇りでした。

 バインダーは稲が湿っているとうまく刈り取ることができません。倒伏しているのでわずかに湿っていてもバインダーに稲が詰まってしまいます。朝露が乾いてから作業にかからねばならないのですが、曇りでなかなか露が乾きません。稲架などの資材を先に搬入し、乾いたところで刈り始めましたが、すぐに雨になってしまいました。残念ですが中断です。ここまでで、全部の田んぼの2割ちょっとといったところでしょうか。田んぼによって雑草や倒伏の状況が違いますが、あと10日以上かかりそうです。稲刈ばかりやっているわけにはいかないのですが、刈り遅れも避けたいところです。天気頼みということになりそうです。