新米をいただいて幸福感に浸る

 先週稲刈したお米を、この週末に早速脱穀して精米し、いただきました。少し前に水分を計ったら18%強だったので、さすがに高過ぎるかと迷ったのですが、土曜日に測ってみたら16.2%でした。長期保存するには水分が多過ぎますが、新米として年内に食べてしまうなら水分が多めの方がお米はおいしいのです。その意味では少し乾燥が進んでいる位です。稲架が折れかけて、干している稲が地面に触れそうな部分があったので、その部分だけ脱穀することにしました。村の精米所は日曜日だけの営業なので、土曜日に脱穀すればすぐに精米してもらえます。籾で50キロほど脱穀し、翌日精米してもらい31キロの白米になりました。早速いただきたいところでしたが、すぐに出張だったので、火曜日に新米をいただきました。やはり新米はおいしい。

 普段は、備蓄している3年前に収穫したお米をいただいています。お米は時間と共に味が落ちます。でも有機栽培で籾保存しているので、それなりの味で特に不満はありませんでした。精米したのは、今年初めてお借りした田んぼで、有機栽培とはいえいわゆる移行栽培です。でも食べ比べてみるとやはり違います。それでもおいしいのが新米の力なのかもしれません。お米がおいしいと、ついたくさん食べてしまいます。先週末から、翻訳をお願いしている平井さんが遠方から手伝いにきてくれました。それに間に合うように新米が用意できてラッキーでした。人手もあるし、先週末には最初の稲刈から1週間経ったので、ほかの田も稲刈できるかも、と思っていたのですが、そこまで登熟が進んだ田んぼはありませんでした。どうも1枚の田んぼだけ特別に生育が良かったようです。

 天気が良いと1日に1%ぐらい水分が下がることもあるので、稲架掛け中の残りのお米もすぐに精米できるかと思いましたが、何と週末は雨。水分が戻ってしまいました。晴れた後で水分を計ってみましたが、4箇所の平均で16.4%。1%以上下がらないと脱穀できません。豆の畑の草を刈ったり、種蒔きが遅れている蕪などを植える場所を用意したりと、米作り以外にもやらなければならないことは沢山あります。平井さんに手伝ってもらって、薩摩藷の除草をしていると、薩摩藷の畝が荒らされています。猪かもしれません。ただ、足跡が見つからないので、ハクビシンなどの小動物かもしれません。電柵を張らないとみんな食べられてしまいます。電柵を張るには外周の雑草を全部刈らねばなりません。

 作物からはなれた雑草は、緑肥なので伸び放題にしていたのですが、電柵の近くに雑草があると、電気がリークしてしまって電柵として機能しないのです。暗くなるまでに、外周の草を刈り終わったので、翌日には電柵が張れそうです。と思っていたら、翌日田んぼのお米の水分を測ってみると、15.1%に下がっていました。被害が拡大する前に、電柵も早く張りたいのですが、乾燥し過ぎるとお米の味が下がってしまいます。急遽脱穀に変更です。3人で午後一杯脱穀しましたが、半分終わったところで暗くなってしまいました。幸い天気予報では雨はなさそうです。明日も脱穀が優先です。出来るだけ早く、乾燥が進まないうちに脱穀してしまいたいものです。脱穀した後の藁も、雨に当ててしまうと乾燥させるのが大変なので、藁の片付けまで終わると良いのですが。

突然の稲刈

 突然ですが先週末の3連休で稲刈をしました。塩田平でも早い方です。まさか、自分がこの時期に稲刈をすることになるとは思ってもみませんでした。というのも、周りより種蒔きが2週間近く遅かった上、直播きで有機農法なので、成長が遅めのはずだからです。例年の稲刈は、周りの田んぼが全て刈り終わった後でした。塩田平でも前の週から、ちらほらと稲刈をする田んぼが出始めていました。忙しかったしまだまだと思っていたので、わが家の田んぼの面倒はパートナーに任せていました。ただ、そろそろ稲刈に備えて、田んぼから水を抜く時期を検討し始めたほうがいいな、と思っていたぐらいです。そこで土曜日に、各田んぼの籾の成熟状況を確認に行って驚きました。

 家の近くの4枚の田んぼのうち1枚だけですが、もう稲刈した方が良さそうです。隣の田んぼで朝から稲刈が始まったとは聞いていたのですが、わが家とは関係ないと思っていました。こんなに早いはずはないと、いくつもの穂の稔り具合を調べましたが、稲刈できそうです。去年の稲刈は10月の初めでしたから、2週間以上早いことになります。いつまで水を入れるか決めるために見に行ったわけですが、早く乾かさなくては。幸い水が減ったところで表面水はありません。少しでも乾燥させるために、畦の漏水防止シートを引き抜きました。幸い3連休に母と妹が東京から手伝いにきてくれました。野菜の種蒔きや、掘り残しのジャガイモを手伝ってもらう予定だったのですが、稲刈が優先です。

 まだ時間があると思っていたので、バインダー(稲刈機)を整備していません。年に1度しか使わないので、キャブレターが詰まってしまうことが多く、オーバーホールが必要だと時間がかかります。田面が乾燥してくれないとバインダーが埋まって大変なので、その面では開始が遅れれた方が良いのですが、整備に時間を食ってしまうと3連休も終わってしまうし、母と妹も帰ってしまいます。翌朝はバインダー整備のために早起きしました。機械置き場に行ってみて、しまった、と思いました。バインダーの手前にパレットに乗った別の機械が鎮座しているではありませんか。さらにその機械の手前にも、薪の山を放置したままでした。バインダーは雑草に覆われて形すら見えません。

 原発事故でストックした薪が使えなくなってしまい、わが家の薪事情は大変なことになっていたのでした。最近入手した廃材や製材の端材がそこここに積上っているのです。まあ良い機会です。運搬車と軽トラを持ってきて、全員総出で薪の移動からです。薪を整理途中の物置に仮置きし、機械を移動し、雑草を刈ってバインダーを引き出しました。大きな異常はなさそうです。クリーニングして注油し、ガソリンも大丈夫そうだったので、リコイルを引いてみますが、全くエンジンがかかる気配がありません。キャブレターのカップを外してみたところ、中はきれいです。???。どうも中に入っているのがガソリンではなく水のようです。原因は不明ですが、カップとガソリンタンクを空にし、新しいガソリンを入れたところ、何とすぐにエンジンがかかりました。

 若干回転が不安定で、ニードルのクリーニングをした方が良さそうですが、とにかく動いているうちに稲刈を始めなければ。田んぼの稗取りをしてもらっていたみんなを呼びに行き、田んぼにバインダーや運搬車、稲架の材料などを運んだところでもうお昼過ぎです。仕方ありません。稲刈の開始は午後からです。お昼は素麺で涼んで、早速稲刈を始めました。ちょっと苦戦しましたが、まあまあのスピードで刈り進みます。ただ、すごい暑さです。真夏なら、機械を支えながら早足で歩けば気が遠くなるので、真夏よりはましなのでしょうがとにかく暑い。最近の農作業は機械頼りなので、最初のうちはバインダー(稲刈機)を操作する人、つまり自分以外はやることがありません。また他の田んぼの稗抜きに行ってもらいました。

 ある程度刈ったところで、刈り終わった場所に天日乾燥のための稲架を立て、他のメンバーにはバインダーが刈った稲束を稲架に掛けてもらいます。掛けるのは3人がかりですが、バインダーが刈る方がはるかに早いので、田面に稲束が広がって行きます。それでも、半分ほど刈ったところで暗くなり始めました。稲架には半分も掛かっていませんが、天気予報では雨は降らなそうなので、藁束はそのままにして、その日の作業を終えました。半日で刈り終わるかと思っていましたが、半分刈れたか刈れなかったか。バインダーの整備や操作、稲架立てができる人がいないので、一人しか作業していない時間がほとんどだったのが、進まなかった理由のようです。

 稲刈2日目の昼頃には終わるかと思っていましたが、稲は刈り終わったものの、稲架掛けは終わりませんでした。運搬車は簡単に使えるので、遠くから稲束を運んでくるのも大変ではなかったのですが、稲を掛ける人が2人だったこともあり、2/3掛け終わったぐらいでしょうか。さらに2日目の最後に大変なことが起こりました。バキッ、と大きな音がしたので見に行くと、1本の稲架が折れて倒れています。数カ所を三脚で支えているのですが、三脚の1つの組み方が甘かったらしく崩壊し、横棒が重さに耐えきれず折れてしまったのです。不幸中の幸いは、少し稲束を下ろせば稲束ごと人力で持ち上がったことです。折れた横棒を立て直した三脚の上で重ねて、何とか元の形になりました。

 ただ、通常稲束を2段重ねるのですが、折れた部分は1段に抑えたので、その分他の稲架を長くしなければなりません。最終的に3日目の午前中2人で稲架掛けして、落ち穂拾いも含め完了しました。のべ5-6人日かかったことになります。時間がかかった主な理由は、バインダーの結束紐が切れたり、結束ミスが出たりしたことのようです。結束機構のケースを開けて切れて絡まった紐を外し、紐をセットし直すのに10分以上かかるからです。結束できなかった稲束を集めてきれいに揃え、手で結ぶのも非常に時間がかかります。丸々1人取られてしまう位です。綿マルチ栽培では、田んぼの際まで稲が育ってしまうので、この部分を手刈りして手で結ぶのもかなりの手間です。次の田んぼの稲刈までに、バインダーの結束機構を分解整備した方が良さそうです。

やっと種蒔きが一段落してつむじ風に出会う

 塩田平もちょっと涼しくなってきました。昼頃農作業をしていてもあまり汗をかかずにすむこともあります。種蒔きが遅れているので、日中も作業できるのはありがたいことです。でも週末は暑く、汗で下着がびしょ濡れになってしまいました。種蒔きは軽作業なので、これ位の気温なら耐えられるのですが、問題はここのところ1週間ほど、全くと言っていいほど雨が降らないことです。天気予報でも今後も1週間以上雨の気配がありません。週末に知人が手伝ってくれ、何とか白菜の種蒔きまで漕ぎ着けたのですが、雨が降らねば芽が出ません。芽が出なければ無理して種蒔きした意味が無くなります。

 白菜は畑にマルチというポリエチレンシートを張って作っています。生育促進と雑草の抑草、それに肥料の有効利用と、良いところが多いのですが、マルチ張りが大変です。薄いシートなので、風が吹くと特に大変です。普通は外周に溝を掘って裾を全周土に埋めるのですが、結構重労働です。わが家では省力化のためにマルチ押さえという大きなプラスチックの画鋲みたいなもので土に止めています。これをたくさん刺さないと風でめくれてしまいます。資材費もそれなりにかかりますし、剥がす時の回収も面倒です。マルチャーという、マルチを張る機械があるのですが、高いし、畑を徹底的に耕しておかないとうまく動かなそうなので、これまでは関心を持っていませんでした。

 たまたまネットの動画で、手で引くタイプのマルチャーを使っているのを見かけました。うまく張れています。さすがに畑は良く耕してあります。白菜を作るのはジャガイモの後です。ジャガイモを高畝で作った跡なので、平らにするために普通よりしっかりトラクターで耕します。雑草も少なめで、マルチャーで引けるかもしれません。管理機で引っ張るタイプの動画も探して見てみました。簡単そうです。オークションで探してみると、安価なものがあります。部品が足りないそうですが、他の農機から外せば何とかなりそうです。つい購入してしまいました。ただ、マルチャーを引くためと、その準備をするための管理機が両方ともパンクしています。

 手伝ってくれた知人と、農機のタイヤのパンク修理から始めました。3つもパンクしています。古くてボルトが錆び付いているタイヤでは、3本もボルトを切ってしまいました。でもチューブを交換して使えるようになりました。2日目は2人でマルチャーの試運転です。幅の広い畝に張ろうとしていたのですが、そのマルチャーでは少し狭い畝にしか張れないことが分かりました。抵抗が大きいとうまくいかなように思っていたので、管理機で畝の両側を削りました。管理機で引くにはかなりコツがいることが分かりましたが、何とか張れました。2つ目の畝ではマルチをちぎってしまいましたが、張ることは張れました。ただ、両側をあまりうまく土で押さえられません。

 3つ目の畝は両側の削り方が足りなかったようで、マルチャーが畝の両側を削りながら移動します。ところがこの方が、マルチの裾がうまく土で押さえられるのです。抵抗が無いようにと、畝の両側を削ったのがいけなかったようです。ここまでで、お昼になってしまいました。午後はすごく暑かったので、午後は日陰で薪の整理をし、涼しくなった頃に、少しだけ買った白菜の苗を植付けました。翌日夕方、少し早く帰ってようやく白菜の種を蒔きました。大分時期外れになってしまったものの、これで一安心、と言いたいところですが、翌日も雨が降る気配がありません。正直なところ、すぐに芽が出ても、もう間に合わない可能性が高いのですが、もう1週間雨が降らなければ絶対に白菜が巻きません。その前に寒くなってしまうからです。

 作物に滅多に水はやらないのですが、仕方ないので炎天下水をやりました。早起きして始めたのですが、種蒔きの後マルチを押さえるために管理機で溝を掘ったりしたので、遅くなってしまいました。本当は朝晩の涼しい時間帯に水をやるのですが、種なので多少は大丈夫でしょう。幸い用水路の隣の畑なので、水はバケツで汲めます。最初はじょうろで水をやったのですが、マルチを張っているので穴に入るのはごく一部です。面積が広いので水の量も時間もかかります。仕方ないので1株ずつ容器に汲んでやることにしました。管理機の溝掘りで畝間を削ってマルチの裾に土を載せながら、種の穴にも覆土するという、超手抜き作業です。ゆっくり水をかけてやらないと覆土が水に流されて種が浮かび上がって来てしまいます。

 気をつけなければならないのと、広い畑なので、午前中一杯かかってしまいました。暑い日だったからでしょうか、突然「ボン」と音がしたかと思うと、目の前で空気に小さな渦ができました。ぐるぐる回っているうちに縦に伸びて行き、小さな竜巻のようになりました。つむじ風です。横に移動して行って、マルチの上に来ると、マルチが吸い上げられます。段々渦の周りが大きくなって、すり鉢型に空気が回っています。4本のマルチを張った畝を横切って、掘り残しのジャガイモの畝の上でしばらく回っていましたが、そのうち中心の渦が消えてしまいました。しばらくは周りの空気が回り続けていましたが、そのうち止まってしまいました。

 それほど大きくはありませんでしたが、自分で見た中では一番大きく、こんなに近くで見たこともありませんでした。もう1畝、まだ白菜の種に水をやっていませんが、暑くなったこともあり、家に帰りました。夕方まで仕事をして、暗くなり始めた頃白菜のことを思い出しました。水をやるのは良いのですが、芽が出ても1週間降らなければ枯れてしまいます。実は先週、白菜以外の野沢菜や冬菜、春菊、法蓮草などを、残った畝に袋から直接バラ播き、トラクターで土とかき混ぜる、という超大胆な方法で、1時間ほどで全部蒔いてしまいました。こっちの畝も、ごく一部ですが、芽が出始めています。これもみんな枯れてしまうでしょう。

 仕方が無いので用水からポンプで畑に水を入れることにしました。ところが何年も使っていないので、ポンプのエンジンがかかりません。もう1台も壊れたままで、確か交換部品があったはず・・・。などやっているうちに暗くなってきました。ポンプは明日の朝何とかすることにし、とりあえず残った畝に水やりに行きました。半分ほど水をやったところで、なんと予想外の夕立が来ました。もうほとんど暗かったので、畑を片付けて家に帰りましたが、幸いなことに結構長く降ってくれました。これで芽が出ても安心です。種蒔きが10日は遅れているので、近所の人も心配してくれています。予報では秋の気温は高いそうなので、何とかなると期待しているのですが。