久々にトラクターで畑を耕す

引き続き暑い日々が続きますが、お元気でしょうか。塩田平では、お布団農法の田んぼが一番難しい時期にさしかかりました。お布団農法では、最初苗が水に浮いた状態で育つのですが、その苗を水を抜いて「着地」させる時期になったのです。田んぼに窪みがあると、水溜まりになって完全に水が抜けず、その部分は「着地」できません。着地出来ないと、地に足がつかない稲になり、倒伏してしまって収穫まで辿り着かないのです。残念ながら今年は田んぼを完全に平らにする余裕が無く、結構な面積の水溜まりが出来てしまいました。溝を掘っても水が抜けず、稲を踏みつけて着地させるという荒技を試しているところです。稲は強い植物なので、多分大丈夫なはずですが。

 

一部田植もしたのですが、その除草も今が勝負です。田の除草は初期の対応が非常に重要です。また、水深を深く保つことが重要です。しかしお布団の着地のために水を抜いているので、どんどん雑草が出てしまいます。少し前にも除草をしたのですが、除草機を貸した人が、株間除草機を返してくれなかったので、株間にびっしり草が生えてしまいました。機械を返してもらったのですが、壊されていて、先日やっと修理して除草しましたが、既に草が大きくなっているので、効果のほどは不明です。次の週末にでも、手で取るしか無いかもしれません。お布団農法でなく田植をしたのは全体の1/4程度なので、除草面積はそれほど多く無いとは言え、手取りは大変な作業です。

 

実は6月中に豆蒔きをしてしまわないとならないのですが、それが遅れていて、田の除草まで辿り着けないのです。畑は原則不耕起ですので、草だけ刈って種を蒔いたり、土をかけるために管理機で少し土を掘ったりする程度で、あまりトラクターは使いません。ただ、大豆やタマネギなど、大面積同じものを作る場合は、除草効果を高め、播種/植付け効率を上げるために、トラクターで浅く耕します。最近は田んぼ以外は人にお任せモードになってしまっていたので、畑でトラクターに乗ることはほとんどありませんでした。田んぼは代掻きをしないと水を溜めることができないのと、一斉に田植/お布団敷きをしなければならないので、5月初めにトラクターで代掻きをしました。

 

今年は大豆を1反以上作りたいので、先週久しぶりに畑をトラクターで耕しました。主力のトラクターが壊れているので、出動したのはかわいい小型のトラクターです。運転は車とほとんど同じで、向きを変える時にロータリーを上げ下げするだけです。トラクターが定速で動き続けてくれますので、アクセルの調節の必要もありません。減反田ですので、水平で耕起も簡単です。パートナーにトラクターの使い方を教えてみたところ、すぐに慣れて、思ったより上手に耕起してくれました。その間に草を刈ったり排水溝を掘ることができ、大分助かりました。豆蒔きにはもう一度耕さねばなりませんが、1週間遅れで7月初め位には大豆を蒔けるかもしれません。

 

色々な作物を育てようとすると、それぞれの時期が重なってしまいます。豆蒔きも、野菜の種蒔きも、田の除草も同時にやらねばならなくならないように、事前に計画を立てる必要があります。それでも、年によって天候が違うので、スケジュール通りには行きません。種を蒔いても芽が出無いこともあります。鳥獣害でやり直しもあります。ところが今年は原発事故で農業の開始が遅れてしまいました。計画も立ててないのに、沢山作ろうとしています。その上例年にない天候や鳥獣害で被害が出ています。作業が衝突してしまって当然なのです。本当は今からでもちゃんと今後の計画を立てるべきですが、それよりもまず豆を蒔かなければ。

わが家のLOCA(冷却材喪失事故)

先週までと打って変わって、毎日蒸し暑い塩田平です。6月も後半ですから暑くなってくれないと困るのですが、梅雨時のこととて蒸し暑く、ちょっと参っています。暑いだけでなく、何だか身体のあちこちが痛い1週間でした。最初は理由が良くわからなかったのですが、良く考えてみると10日ほど前に薪をいただけるという話がありました。軽トラで見に行ったのですが、とても軽トラに積める量ではなく、とりあえず積めるだけ積んで帰って来て、うちの大きいトラックを出動させ、2往復したのでした。3トン位の薪をいただいて来たでしょうか。その積み降ろしが原因のようです。

 

生木ですし、切り出しの時期ではないので水分が多く、1年以上の乾燥が必要です。でも薪のストックが1冬分あるかないかになってしまったわが家に取っては、1-2メートルに玉切りしてある薪をいただけるわけですから、大喜びです。問題は、筋肉痛が出たのが2日後ではなく、4日以上経ってからだった、ということの方です。もう年なので、当日や翌日の筋肉痛は無いとしても、ずいぶん経ってるなあと、改めて老化現象を認識したのでした。この春農業に本格復帰した当初も、思うように身体が動かず往生したものでした。どうも普段からそこそこ重労働する方が健康でいられるようです。

 

調子が悪いと言えば、わが家の農機も全部不調になってしまいました。去年農業を手伝ってくれた人が、機械に明るくなく、必要な手入れをしていなかったようです。大きなトラクターを壊されてしまったのですが、大豆を作る減反田を耕したいので、しばらく使っていなかった小さなトラクターを整備しました。すぐにエンジンはかかりませんでしたが、バッテリーを充電し直して試してみると、かかりました。さっそく次の日、家の近くの畑にを1畝だけ耕してみました。順調です。これで野菜の種も蒔けます。家に帰る途中、切れたゴムベルトが道に落ちていました。何かに使えるかもしれないと思い、拾って軽トラの荷台に載せておきました。

 

今思うと、この時に気付けば良かったようです。雨や義父の法事などで2日ほどおいてから、広い畑を小さなトラクターで耕し始めました。畑を2往復した頃、エンジンから立ち上る湯気がちょっと激しすぎることに気付きました。とりあえずエンジンカバーを開けてみてビックリ。ラジエターから大量の冷却水が蒸気とまざって噴き出しています。エンジンが過熱し、沸騰した冷却水が高圧になり、逃がし弁から噴き出しているのです。どこかで聞いたことのある「ベント」です。しかも既にかなりの冷却材(冷却水)を失っていて、このままでは冷却材喪失事故(LOCA)となり、エンジン部品が溶融して焼き付いてしまいます。シビアアクシデント一歩手前です。

 

あわててエンジンを止めました。エンジン止めさえすれば、これ以上悪化することは無いはずです。よく見るとファンベルトがありません。先日落ちていたのはトラクターのベルトだったのです。ラジエターに冷却用の風が当たらず、自然放熱だけでは冷却しきれないので、ボイルアウトしてしまったのでした。ラジエターに注水したところ、2リットルほど入りました。ベルトを買って来て組み付けたので、循環冷却が回復します。どっかの原発と同じですね。大きさや複雑さは違っても、熱機関の基本は全く同じことに、改めて感心しました。ただ、核燃料は止めても熱が出続けます。それを冷やすには、常に外から電力を供給し続けてやらねばならず、それが大事故につながったのです。

 

わが家のLOCAは幸い大事故になる前に収束し、無事に畑が耕せるようになりました。豆蒔き予定地の耕起が半分位終わりました。2週間遅れ位で何とか豆蒔きができそうです。米作りの方は、先週からお布団農法の苗の着地が始まっています。残念ながら代掻きで均平にしきれなかったので、水溜まりが出来て着地出来ない苗も結構あるようです。今年は遅れてのスタートだったし、最初から条件が悪かったので仕方ありません。溝を切ったりして、排水に務めています。最後に敷いたお布団が、次の週末に着地の段階に入りそうです。山の田は鳥か動物に芽や種籾を食べられてしまったらしく、残った苗を植えて回復を図っているところです。

1カ月遅れのスタートでしたが、どたばたと2カ月ほどやってきました。田の水管理に失敗した部分は雑草が増えそうなので、除草に手間を取られそうですが、間もなく手がかからなくなる予定です。田に忙しく、お留守になっていた畑は、これから種蒔きで巻き返しです。修理待ちの機械が沢山あったり、電気柵の設置の仕方が悪く、漏電していることが分かったりと、トラブルも多いものの、もう一息で遅れを取り戻せそうです。福島では引き続き放射能放出が続いていて、目が離せません。今は放出も少なくなっていますが、大放出の可能性も残っています。地下水や環境へどのような影響が出るかも未知数です。作物を作る位しか出来ることが無いので、とりあえず生産に務めたいと思っています。

引き続き田んぼに手を取られる

梅雨寒、という言葉を思い出す塩田平の今日この頃です。暑くないので農作業は楽です。薩摩藷が根付くまでは晴れないで欲しいので良いのですが、この状態が続くと稲の活着や成長に影響が出ないか心配もあります。先週一番大きな田んぼの台風で流されてしまったお布団(布マルチ)の最後の修正を試み、修正しきれないところは手植えで田植をして、全ての田植が終了しました。家の近くの田んぼのお布団からは稲が順調に芽を出し、2葉期に入ろうとしています。とりあえずこれで一段落かと思いきや、失敗もあり、引き続き田に手を取られています。

 

山間の田んぼは水温や日照などの条件が悪いせいか、芽が出始めたかな、という程度です。普通に田植をしている周りの田んぼの稲はもう青々しているので、ちょっと焦りますが、夏の気温が低くなければ追いつける予定です。早生の布マルチが足りなかったので、こちらも2畝弱田植をしました。水の管理は朝一番に水を入れて昼間の太陽で温度を上げねばなりません。出張中の管理を子供に任せたところ、夕方水をかけ始めただけでなく、一晩中掛け流しにしてしまいました。夜間に冷たい水が大量に入ったため、田植えした苗が3割位枯れてしまいました。

 

山の田んぼも動物の襲撃を受け、お布団が踏み荒らされただけでなく、芽も出て来ません。鳥の足跡も沢山ついていたので鳥に芽を食べられてしまったのかもしれません。水を抜いて様子を見ているところです。少し苗の残りがあるので、補植したいところですが、低温で予備の苗も弱っているのと、雑草が目立つので、まず除草をしました。除草すると植えたばかりの苗は抜けてしまうので、何回か必要な除草が一段落してから補植することになります。除草も、知人に貸していた除草機が壊れて帰って来てしまい、修理に半日かかって遅れてしまいました。

 

6月は薩摩藷と豆類の蒔き付けの時期です。苗が終わる時期になってしまったので、とりあえず薩摩藷を残りの畝に植えました。梅雨というのに雨は少ないのですが、曇りがちで気温が低めなので、水をやらなくても大丈夫そうです。薩摩藷の苗は根が無いので、晴れが続くと枯れてしまうのです。今年は梅雨入りは早かったものの、宣言が出るとなぜか好天が続くのは例年通りです。4月中旬からダッシュでやって来た農業ですが、葉菜類の種蒔き以外は、何とか追いつけそうです。葉菜を蒔くにはトラクターを修理したいところですが、そこまで辿り着けません。

 

梅雨なので草の生長が非常に速く、1週間で30センチ位伸びます。種蒔きをしようと草を刈っても、半月手が付かないと見渡す限りの雑草の海に飲まれてしまいます。また草を刈って畑を起こさないと種が蒔けません。それでもまた知人が手伝いに来てくれ、いくつか種を蒔いてくれました。ちょっと安心出来ますが、本当はもう1列蒔いてくれる予定が、子供が場所を片付けていなかったので、途中までで終わってしまいました。豆を蒔くための畑も借りてあります。もう一息なので、さっさと田んぼを片付けて、除草して、豆や種をを蒔いてしまわねば。

何とか田植が山を越しました

時々雨が降るものの、天気の日が多い塩田平でした。梅雨入りは早かったものの、宣言が出るとなぜか好天が続くのは例年通りです。先週植えた薩摩藷が、好天で枯れてしまうのではないか心配でした。週末に見に行ったところ、葉が大分枯れていましたが、幸い土には水分があり、水をやらなくても根付きそうでした。まだ1/4しか植えていませんが、残りは天候を見ながらもう少し先にすることにしましょう。薩摩藷の苗は根が無いので、晴れが続くと枯れてしまうのです。4月中旬からダッシュでやって来た農業ですが、葉菜類の種蒔き以外は、何とか追いつけそうです。

 

お米の方は、わずか2反5畝の田んぼです。それが5枚に分かれているので、条件は良くありません。スタートの遅れと、例年に無い台風と猪の被害で苦戦してしまい、お布団を敷ききれませんでした。さすがに6月に入ってお布団農法では遅過ぎると思ったので、先週ほんの苗箱2枚の田植をして、お布団敷き/田植が終了しました。全体の95%はお布団農法です。1度は猪に破られた電柵ですが、幸い修理した後は猪も来ていないようです。3回も侵入されたので、既にお布団は穴だらけのぼろぼろで、半分位しか除草効果が無いかもしれません。そういえば、2年前は鴨の大群に襲われ散々でした。自然相手はなかなか大変です。

 

ただ、一番大きな田んぼの修復が残っています。台風で水路から大量の水と雑草の種子が流れ込んでしまったのです。大量の水と種子類と稲株の砕かれたものが流れ込み、お布団が半分近く押し流されてしまいました。しかもお布団の上は草の種だらけ。お布団からは稲の芽が出始めました。台風に流されてしわくちゃなままではうまく育たないので、週末慌てて修復に励みました。子供にも手伝わせましたが、6割ほど終わったところでしょうか。もう少しやってみるつもりですが、修復しきれないところは田植をし直すしかありません。雑草の種が流れ込んだところと田植をした所は、草を抑えられないので、除草するしかなさそうです。

 

週末知人も手伝いに来てくれたので、畑の方も少し進みました。生い茂っていた雑草を退治して、懸案のカボチャの種蒔きができました。予定に遅れること3週間ですが、何とか間に合うでしょう。家の近くの畑では、大根葉、小松菜、法蓮草などが生い茂っています。食べきれない量ですが、販売までは手が回りません。しかも次の種蒔きが出来ていません。葉物野菜の収穫時期は短いので、間もなく食べるものが無くなってしまいます。計画通りに種蒔きする余裕が無かったのです。農業は天候との相談なので、多めに作っておかないと足りなくなってしまいます。多すぎた場合は売らなければ無駄になってしまいます。田んぼが何とか山を越えたので、次は畑の計画を練り直して、どんどん種を蒔いてしまいたいところです。

主食になる米と芋を確保

先週末を待たず、塩田平も梅雨入りしました。ついでに台風も襲来しました。塩田平に住み始めて十数年。正確な記憶ではないのですが、5月に梅雨入りしたことも、台風が来たことも、これまでには無かったように思います。山々に取り囲まれた塩田平ですので、台風で大きな被害が出ることは少ないのですが、水路から田んぼに大量の水とゴミが流れ込んでしまいました。せっかく敷き終わったお布団が半分近く流されました。すぐに直したいところですが、代掻きしかけで、まだお布団を敷いていない田んぼが残っています。まずはこちらからです。

 

山奥の、標高が高い谷間の田んぼです。一昨年初めて作った時は、低温でいもち病が出てしまい、大分減収してしまいました。昨年は作る余裕がありませんでした。お布団敷きが遅れているので、十分な生育期間が取れるかが問題ですが、極早生の種子が入ったお布団が少し余っているので、それを使うことにしました。極早生ではありませんが、他の田んぼに敷いた残りのお布団も、濡らしてしまったので使ってしまわねばなりません。2枚で1反弱の田んぼですが、お布団だけで7畝分位あります。残りは田植をすれば、こちらはちょっと遅いだけなので、生育の問題は何とかなるでしょう。

 

残念ながら週末は雨でしたが、どうせ田んぼの中は水浸しです。パートナーと2人で、残りの代掻きとお布団敷きを分担しました。代掻きが完了し、小さい方の田んぼにほぼお布団を敷き終わりました。2畝半ぐらいです。翌日から、もう1枚の大きい方の田んぼにお布団を敷きました。5畝分あった極早生のお布団の残り2畝半分をまず敷き、余り物のお布団で1畝分ほどが敷けました。あと1畝半か2畝植えねばなりませんが、ここまでで時間切れです。お布団を敷いて水を入れないことには稲の芽が出ないので、そこまで辿り着けただけで良しとしましょう。

 

2週間ほど前に3枚の田にお布団を敷きました。1枚は順調ですが、山の田のお布団は猪にやられて大きな穴が開いています。一番大きな田のお布団も、台風で出た水に押し流されてしまいました。この修復も必要なのですが、週末にはまだ芽が出ていませんでした。芽が出るまでは、とりあえず水にさえ漬かっていれば良いのです。実はカボチャの種蒔きと薩摩藷の植付けが終わっていないのが気になっていました。カボチャを作る予定の畑は草ぼうぼうで、何の準備も出来ていません。これは時間をかけねば出来ないのですぐには難しい。薩摩藷は畝立てしてマルチも張ってあります。

 

一部だけでも薩摩藷を植えようと思って、週末に種苗店に少し苗をお願いしてありました。ところが雨で入荷が遅れているとの電話が来ました。田んぼの作業が遅れていたので、ちょうど良いと思っていましたが、入荷連絡の電話が来ないまま週末が終わってしまいました。薩摩藷の植付けはちょっとしたコツがあり、慣れればあっという間に植付けが出来ます。ちょっと余裕があれば植えられると思って、種苗店に電話したら、苗があるとのこと。台風でマルチが剥がれていたりしてちょっと時間がかかりましたが、早速植付けました。気になることは沢山残っていますが、これでカロリーは確保出来そうです。