やっと種蒔きが一段落してつむじ風に出会う

 塩田平もちょっと涼しくなってきました。昼頃農作業をしていてもあまり汗をかかずにすむこともあります。種蒔きが遅れているので、日中も作業できるのはありがたいことです。でも週末は暑く、汗で下着がびしょ濡れになってしまいました。種蒔きは軽作業なので、これ位の気温なら耐えられるのですが、問題はここのところ1週間ほど、全くと言っていいほど雨が降らないことです。天気予報でも今後も1週間以上雨の気配がありません。週末に知人が手伝ってくれ、何とか白菜の種蒔きまで漕ぎ着けたのですが、雨が降らねば芽が出ません。芽が出なければ無理して種蒔きした意味が無くなります。

 白菜は畑にマルチというポリエチレンシートを張って作っています。生育促進と雑草の抑草、それに肥料の有効利用と、良いところが多いのですが、マルチ張りが大変です。薄いシートなので、風が吹くと特に大変です。普通は外周に溝を掘って裾を全周土に埋めるのですが、結構重労働です。わが家では省力化のためにマルチ押さえという大きなプラスチックの画鋲みたいなもので土に止めています。これをたくさん刺さないと風でめくれてしまいます。資材費もそれなりにかかりますし、剥がす時の回収も面倒です。マルチャーという、マルチを張る機械があるのですが、高いし、畑を徹底的に耕しておかないとうまく動かなそうなので、これまでは関心を持っていませんでした。

 たまたまネットの動画で、手で引くタイプのマルチャーを使っているのを見かけました。うまく張れています。さすがに畑は良く耕してあります。白菜を作るのはジャガイモの後です。ジャガイモを高畝で作った跡なので、平らにするために普通よりしっかりトラクターで耕します。雑草も少なめで、マルチャーで引けるかもしれません。管理機で引っ張るタイプの動画も探して見てみました。簡単そうです。オークションで探してみると、安価なものがあります。部品が足りないそうですが、他の農機から外せば何とかなりそうです。つい購入してしまいました。ただ、マルチャーを引くためと、その準備をするための管理機が両方ともパンクしています。

 手伝ってくれた知人と、農機のタイヤのパンク修理から始めました。3つもパンクしています。古くてボルトが錆び付いているタイヤでは、3本もボルトを切ってしまいました。でもチューブを交換して使えるようになりました。2日目は2人でマルチャーの試運転です。幅の広い畝に張ろうとしていたのですが、そのマルチャーでは少し狭い畝にしか張れないことが分かりました。抵抗が大きいとうまくいかなように思っていたので、管理機で畝の両側を削りました。管理機で引くにはかなりコツがいることが分かりましたが、何とか張れました。2つ目の畝ではマルチをちぎってしまいましたが、張ることは張れました。ただ、両側をあまりうまく土で押さえられません。

 3つ目の畝は両側の削り方が足りなかったようで、マルチャーが畝の両側を削りながら移動します。ところがこの方が、マルチの裾がうまく土で押さえられるのです。抵抗が無いようにと、畝の両側を削ったのがいけなかったようです。ここまでで、お昼になってしまいました。午後はすごく暑かったので、午後は日陰で薪の整理をし、涼しくなった頃に、少しだけ買った白菜の苗を植付けました。翌日夕方、少し早く帰ってようやく白菜の種を蒔きました。大分時期外れになってしまったものの、これで一安心、と言いたいところですが、翌日も雨が降る気配がありません。正直なところ、すぐに芽が出ても、もう間に合わない可能性が高いのですが、もう1週間雨が降らなければ絶対に白菜が巻きません。その前に寒くなってしまうからです。

 作物に滅多に水はやらないのですが、仕方ないので炎天下水をやりました。早起きして始めたのですが、種蒔きの後マルチを押さえるために管理機で溝を掘ったりしたので、遅くなってしまいました。本当は朝晩の涼しい時間帯に水をやるのですが、種なので多少は大丈夫でしょう。幸い用水路の隣の畑なので、水はバケツで汲めます。最初はじょうろで水をやったのですが、マルチを張っているので穴に入るのはごく一部です。面積が広いので水の量も時間もかかります。仕方ないので1株ずつ容器に汲んでやることにしました。管理機の溝掘りで畝間を削ってマルチの裾に土を載せながら、種の穴にも覆土するという、超手抜き作業です。ゆっくり水をかけてやらないと覆土が水に流されて種が浮かび上がって来てしまいます。

 気をつけなければならないのと、広い畑なので、午前中一杯かかってしまいました。暑い日だったからでしょうか、突然「ボン」と音がしたかと思うと、目の前で空気に小さな渦ができました。ぐるぐる回っているうちに縦に伸びて行き、小さな竜巻のようになりました。つむじ風です。横に移動して行って、マルチの上に来ると、マルチが吸い上げられます。段々渦の周りが大きくなって、すり鉢型に空気が回っています。4本のマルチを張った畝を横切って、掘り残しのジャガイモの畝の上でしばらく回っていましたが、そのうち中心の渦が消えてしまいました。しばらくは周りの空気が回り続けていましたが、そのうち止まってしまいました。

 それほど大きくはありませんでしたが、自分で見た中では一番大きく、こんなに近くで見たこともありませんでした。もう1畝、まだ白菜の種に水をやっていませんが、暑くなったこともあり、家に帰りました。夕方まで仕事をして、暗くなり始めた頃白菜のことを思い出しました。水をやるのは良いのですが、芽が出ても1週間降らなければ枯れてしまいます。実は先週、白菜以外の野沢菜や冬菜、春菊、法蓮草などを、残った畝に袋から直接バラ播き、トラクターで土とかき混ぜる、という超大胆な方法で、1時間ほどで全部蒔いてしまいました。こっちの畝も、ごく一部ですが、芽が出始めています。これもみんな枯れてしまうでしょう。

 仕方が無いので用水からポンプで畑に水を入れることにしました。ところが何年も使っていないので、ポンプのエンジンがかかりません。もう1台も壊れたままで、確か交換部品があったはず・・・。などやっているうちに暗くなってきました。ポンプは明日の朝何とかすることにし、とりあえず残った畝に水やりに行きました。半分ほど水をやったところで、なんと予想外の夕立が来ました。もうほとんど暗かったので、畑を片付けて家に帰りましたが、幸いなことに結構長く降ってくれました。これで芽が出ても安心です。種蒔きが10日は遅れているので、近所の人も心配してくれています。予報では秋の気温は高いそうなので、何とかなると期待しているのですが。

玉葱の種を蒔き終わり一安心

 お盆過ぎれば暑さも和らぐかと思いきや、引き続き暑い日が続く塩田平です。それでも陽射しは少し弱くなり、朝晩の気温も少し下がったように思います。ただその分、日が落ちるのが目立って早くなりました。6時半には暗くなり、野良仕事を切り上げねばなりません。お盆明けに倒伏してしまったトウモロコシは、毎日主食替わりに食べ続け、やっと食べ終わりました。しばらくはトウモロコシは食べたくないかも。パソコンも相変わらず不調のままで、ほとんどメールが読めずに困っています。原因は大体目処がついたのですが、お盆のあとは仕事が溜まってしまって忙しく、パソコンの手入れまで手が回っていないのです。

 9月初めに小学生をキャンプに連れて行くのですが、週末はその準備会がありました。もちろんトウモロコシを数十本持って行き、子供達のおやつとスタッフの昼食替わりに使ってもらいました。その午後は原発の勉強会で集まったメンバーのパーティーでした。メンバーの1人が経営しているブルーベリー農園に集まり、久しぶりにのんびりしました。わが家からの持ち寄りはもちろん茹でトウモロコシと枝豆です。わが家で余った野菜も皆さんに押し付けて来ました。畑が遅れているので余裕は無いのですが、パーティーで窮状を漏らしたところ、翌日農園主が大型の草刈機を軽トラに積んで手伝いに来てくれ、畑の問題の草を全部刈ってくれました。感謝感激です。

 他にも、高校の先輩、東京の母が週末に手伝ってくれ、何と2万5千粒あった玉葱の種を全部蒔いてくれました。自分でやるより短い時間で蒔き終わってしまったので、ちゃんと蒔いてくれたか不安もありますが、大丈夫と思うことにしましょう。目標の3万粒には届いていませんが、例年より少し早く蒔けたので、足りるのではないかと思います。蒔く数よりも、虫に食べられてしまったり、草が生えてしまったりで、3割程度しか育たないことの方が問題なのです。種蒔きが早ければ、それだけ大きく育ってくれて、使える苗が増えてくれるかもしれません。あとは8月中に白菜、大根、野沢菜を蒔きたかったのですが、続きは9月に持ち越しになりそうです。

 週末には肥料の仕入れにも行って来ました。油粕を買いに行ったのですが、近くのお店にはほとんど在庫が残っていませんでした。スケジュールが遅れているので、他の人が求めたあとということでしょう。幸いちょっと遠い店に在庫があり、軽トラ2台に一杯買って来ました。掘り残しのジャガイモがまだ残っているとか、豆を蒔いた畑が草に埋もれてしまったという問題も残ってはいます。でもすごく伸びてしまった草を、父と知人が刈ってくれたので、何とか追いつけるかもしれません。実は家の草刈機がみな壊れてしまったので、新しい草刈機を買いました。それが週末に届いたのですが、30分も使う前に壊れてしまいました。今はこれが一番困ったことかもしれません。早く修理しなければ。

嵐のような夕立でトウモロコシが全倒伏

 皆さんお盆はいかがでしたか。お盆前に暑い中草刈を続けたのが響き、お盆頃はほとんど寝て過ごすことになってしまいました。パソコンも全然直らず、延々データの復旧やコンバート、移動などをさせていました。同時に他のことに使ってクラッシュしてしまっては元も子もないので、処理が終わるまで待つしかありません。24時間以上かかることもあり、時々様子を見る以外は手が出せません。処理が終わるのを待ち構えていなければならないので、予定していたお墓参りもパスさせてもらいました。ご先祖様申し訳ありません。お盆には村の盆踊り大会があり、そちらは参加してちょっと盆踊りのまねごとをしましたが、雨がぱらつきはじめ、残念ながら予定より早く終わってしまいました。

 17日に原発のセミナーの講師を依頼されていたので出かけたのですが、その間に大変な夕立が降りました。2時過ぎには降り出したので、夕立というよりスコールとでも言いましょうか、すごい暴風雨だったようです。出かけた先は、車で1時間ほどのところなのですが、いくつか山を越えたからか、ほとんど雨は降らず、遠くの雷が伝わってくる程度でした。ところが家に帰ってみると、開けていた窓から大量の雨が入っていて、床に水溜まり。翌朝起きて驚いたことに、100本以上植えてあるトウモロコシがほとんど全部倒伏しています。キュウリの棚も全壊。枝豆や田んぼの稲も半分ほど倒伏していました。大被害です。しかも翌日も激しい夕立が降りました。こんなに雨が降ると、雑草が生い茂ります。

 トウモロコシは、ハクビシン除けの電柵の上に倒れていました。トウモロコシ自体を救うより、まず電柵を回復させないと、ハクビシンに食べられてしまいます。とりあえず電柵を救い出して電流を流し、残ったトウモロコシは翌日支柱を立てて引き起こしました。残念ながら折れているものは、収穫するしかありません。ここ数日、毎食トウモロコシと枝豆が主食で、お米やパンは全く食べない日が続くことになりました。どちらも大変おいしいのですが、さすがに少し飽きてきて、これまた早く食べた方がよいジャガイモを加えてバリエーションを出したりしています。稲は幸い多くが自力で立ち上がってくれました。ちょうど稲の花が咲く時期と重なったので、倒伏のダメージで実の数が少し影響を受けるかもしれません。

 週明けに、以前ジャガイモ掘りを手伝ってくれた友人がまた手伝いに来てくれ、放置されていた豆の草を刈ってくれました。でもこの1週間の間にかなり生い茂ってしまい、豆は息絶え絶えのようです。草を刈るのも時間がかかり、一部の草を刈っただけで1日終わってしまいました。豆も心配ですが、玉葱の種蒔きもしなければなりません。出張も多い時期で、ほとんど手が回りません。草を刈るつもりで居た日は、トウモロコシを起こしたり、倒れたキュウリの棚を作り直したりで終わってしまいました。田んぼの水も抜けがちで、水の管理や畦の補修もあり、なかなか除草まで手が回りません。以前は8月は雨が少なかったのですが、今年は激しい雨が多く梅雨時同じ位草が伸びます。作業の見積を変えなければならないようです。

猛暑の中ひたすら草を刈り続ける毎日

 もうお盆。暑い日が続きますね。農業歴的には秋に入ります。これからは暑さも和らぎ、種蒔きすれば芽が出てくれるようになります。塩田平では、9月に入ると気温が下がり、虫が出てきます。それまでにある程度育ってくれれば良いのですが、秋の虫にやられると、何度蒔き直してもますます虫が増え、みんな食べられてしまったりします。できれば今のうちに、秋冬野菜の種を蒔いてしまいたいものです。でもここ数日は、時間さえあれば草を刈っていました。田舎のこととて、周りの家はお盆に親戚が集ってきます。人々を迎えるのに、お墓をはじめ、家の庭、田畑の雑草も全てきれいにして、お盆に備えます。

 しかしわが家に貸している田畑は草ぼうぼうのままです。周りからの目が厳しくなってきます。体調を崩して2週間以上、農作業をお休みしていましたが、このままはいきません。休耕中の畑に有害植物が生えている、というクレームも来ました。わが家の作物もそろそろ草に負けてしまいます。作物のためにも草を刈らねばなりません。借りている田畑は点在しているので、畦畔の長さは半端ではありません。作りにくい所からしか貸してもらえないので、法面が身長より遥かに高いところもいくつかあります。全面に繁茂した雑草を刈るのはかなり危険な作業です。真夏の猛暑の中ですが、草刈りを始めました。

 早起きすれば気温が低いのですが、仕事が終わらず早寝早起きが難しく、目が覚めたら残念ながら6時を回ってしまっていることも。昼前には暑くて動けなくなりますし、午後も5時過ぎても暑い日も多く、7時過ぎには暗くなるので能率が上がりません。壊れた自走式の草刈機を修理している暇がないので、刈払機だけで4日草を刈り続けて、肩も腕も筋肉痛です。田の畦草は刈り終わりましたが、長い法面は、道路から目立つところだけ刈って勘弁してもらうことにしました。久しぶりに行った休耕中の畑には、何と雑草が3メートル以上繁茂していました。刈払機では危険なので1メートル以下になる程度に刈りました。

 問題は畑です。1ヶ月ぐらい前に豆を蒔いた畑が、全面草の海。膝より高い程度ですが、目を凝らさないと豆の姿は見えません。草に負けて枯れてしまうまで1週間ももたなそうです。ぎりぎりのタイミングですが、集落内や道路際の草刈りを優先させざるを得ないので、後回しです。最後にやっと取りかかりましたが、連日の炎天下での作業に無理があったらしく、またダウンしてしまいました。治まっていた目眩も再発です。というわけで、豆畑は1割程度草を刈ったところでお盆を迎えてしまいました。過労も目眩も前回ほどひどくはないので、お盆明けに草刈りを再開するまで、豆たちに持ちこたえ欲しいところです。

 懸案のジャガイモ掘りは、先週後半、古くからの友人と東京の母が手伝いに来てくれました。体調は今ひとつでしたが、耕耘機を使える人がいないので、参加して鋤で掘り起こしました。力仕事で日が照りだすと10分ぐらいで下着まで汗でびしょびしょになります。30分ほど耕耘機で掘れば、そこから芋を拾い集めるだけで、3人で午前中いっぱいかかります。ジャガイモは3時間以上日光に当てると、緑化してソラニンという毒ができてしまうので、作業は3時間以内が目標です。自分は草刈りに戻りますが、3時間経つ前に、もう芋を集め終わってしまったなら追加で掘ろうと見に行くと、全然進んでいなかったりします。

 3時間以上経つと緑化してしまうので、あわてて運搬車のエンジンをかけ、畝沿いを走らせながら運搬車の荷台のコンテナに掘り出された芋を放り込みます。最低速にして、やっと着いていけるスピードなので、必死に芋を拾い続けなければなりません。昼前の暑い中、機械に合わせざるを得ないので、全身汗まみれです。チャップリンのモダンタイムス状態です。その代わり能率は抜群です。他の人は運搬車が使えないので、掘り出す方はやるから、拾い集めるのはやってくださいモードになりがちです。おかげでジャガイモは7割ぐらい掘り終わりました。その分草刈りが遅れていますが、お盆前の最低目標はクリアしました。

 それ以外の雑草は、家の近くの畑は父が、遠くの主力の畑は手伝いの人たちがある程度刈ってくれました。後は機械で除草/抑草したほうが効率的ですが、機械を使えるのは自分だけなので、作物が負ける前に間に合うかは微妙です。田んぼの方は、各田んぼで出穂が始まりました。周りより遅れていたので一安心。この時期水を切らすと生育が遅れるので、畦の点検もして水漏れもできるだけ止めました。ある田んぼでは、田面にモグラが開けた穴を発見しました。水が減る訳です。本当は秋作の準備も進めねばなりません。今のところそちらまでは手が回っていませんが、焦らず進めていきたいと思います。

ジャガイモを掘り始める

 さすがに夏本番で、塩田平でも暑い日が続いています。たまに、ちょっと涼しい日があり、夜は窓を閉めないと寒いぐらいの日もあります。周囲の田圃では、稲が出穂して花盛りです。もっとも稲の花には花びらが無いので、華やかさはありません。直播きで作業が遅れたわが家の田んぼはまだ出穂していません。成長は順調で、株も大きくなってきているので、秋までに追いついてくれると良いのですが。パソコンが壊れて仕事が遅れているので、農業はパートナーに任せっきりです。田んぼの水は見てくれているようですが、水の管理は難しいようで、よく水が無くなってしまい、雑草が生えてしまっているようです。手が回らない畑は草だらけになってしまいました。

 新しいパソコンは到着したのですが、古いパソコンから中身を移さねばなりません。機械やOSが新しくなっているので、古いソフトウェアに動かないものがあって、なかなか移行ができません。それに公民館で原発事故についてお話をする予定なので、まずその資料を準備しなければなりません。予備のパソコンで作業すると、作業でできたファイルも新しいパソコンに移さなければなりませんl。時間が経つほど移行の仕事が増えてしまいますが、仕方ありません。パソコンは便利な道具ですが、壊れるととても大変です。1週間近くパソコンのお守りに専念しているので、ほかのことは全く手に付きませんでした。

 実は早くジャガイモを掘らなければなりません。暑くなったので茎葉が枯れてしまったからです。もうこれ以上大きくなることはありません。雑草を抑えるためにマルチを張っています。葉が枯れると、芋が埋まった畝の黒マルチが夏の太陽に照らされて高温になってしまい、中の芋が煮えて腐ってしまいます。そろそろまずいな、と思っていた先週末、東京の妹と、近くに住む知人が畑の手伝いにきてくれました。ジャガイモは手掘りもできますし、その方が傷もつかないのですが、土の中から掘り出すので大変です。わが家では耕耘機に鋤をつけて半分掘り出し、残りを人が掘っています。問題は、忙しくて全然整備していない耕耘機が、動いてくれるかでした。

 少し前に畑においてある耕耘機を見たとき、タイヤの空気が抜けていた印象がありました。パンクしていると簡単には直らないなあ、と心配していたのですが、取りにいってみるとタイヤは問題ありませんでした。カバーをかけてあったので、耕耘機に取り付けてあった、肥料を撒く機械のタイヤを見間違っていたようです。エンジンも快調にかかってくれました。これでジャガイモが掘れます。ただ、とても古い耕耘機を安く買ったので、タイヤの山がほとんど残っていません。鋤で土を起こすのは力がいる作業です。でもタイヤのラグが畑の土をあまり掴んでくれないので、タイヤが空回りしてしまい、土は起きないし耕耘機が前に進みません。

 仕方ないので人力で力一杯押して助けてやると、やっとジャガイモを掘り起こすことができます。浅く掘り起こせばあまり力がいらないのですが、ジャガイモを鋤で切断してしまうことが多くなります。深く起こす程よいのですが、深すぎると、力一杯押して手助けしても、びくとも動かなくなってしまいます。暑い中、1日力一杯耕耘機を押し続けて、土曜日までにやっと1/3強のジャガイモを掘ることができました。コンテナに10杯ほど収穫できたので、200キロぐらいでしょうか。目標よりだいぶ少ない感じですが、全部掘り終わり、計量が終わってみないと本当のところは分かりません。植え付けが半月遅れたのと、春先気温が低く成長が悪かったので、こんなところかもしれません。

 日曜日は村の草刈りで、その後残りのジャガイモを掘ってしまおう、と思っていたのですが、炎天下の重労働がいけなかったらしく、体調を崩してしまいました。結局日曜日は1日寝て過ごし、草刈りにはパートナーに行ってもらいました。暑い時期、無理は禁物と思い知りました。でも作物は待ってくれないので、ついついやりすぎてしまいます。ジャガイモは午前中暑くなる前に手掘りしてくれたのですが、手掘りでは2人で1畝半しか掘れなかったとのことでした。週明け、やや体調が戻ったことと、夕刻気温が下がったので、耕耘機でもう1畝半掘り起こし、パートナーに掘り出してもらいました。ここまででやっと半分です。お盆前にやってしまいたい作業がたくさんありますが、体調と相談しながら片付けるつもりです。

パソコン不調と幼稚園のキャンプ

 塩田平では暑い日が続いていますが、皆さんお元気ですか。おかげさまで目眩もだいぶ治まり、ほとんど不自由しなくなりました。ただ、1週間ほど前、突然パソコンが壊れました。うんともすんとも言わなくなってしまったのです。無理矢理蓋を開けて配線のチェックぐらいはしてみましたが、効果はありませんでした。仕事柄バックアップは取っていますので、失ったファイルはほとんどないのですが、パソコンが無いと仕事になりません。会社の古い予備のパソコンで当座をしのぐことにしました。セットアップやデータの移行、バックアップからの復旧などで2日以上かかってしまいました。メモリもディスクも今の半分以下なので、仕事のペースも落ちてしまいます。新しいパソコンが到着するまでの10日ほどをしのがねばなりません。

 幸いこの月曜から水曜まで、毎年お手伝いしている幼稚園のキャンプのボランティアに行っていました。幼稚園の子供と、この春卒園して小学校に入学した1年生、全部で30人の子供と、スタッフが10人前後。計40人分の食事の準備と後片付けが主な仕事です。家の畑から、レタスや玉葱、茄子、ピ−マン。ズッキーニ、それに枝豆などを持っていきました。山の中なので電気も電波も不十分でパソコンはほとんど使えません。パソコンも不調なことですし、キャンプに専念しました。子供たちが登山している間に、短時間に40人分の流し素麺をゆでるのが、一番大変な仕事です。子供たちの下山が遅れて時間があったので、かまどや薪の炊き方を工夫したところ、これまでよりも全然簡単に素麺を作ることができました。

 もう一つのキャンプの大イベント、キャンプファイヤーでも新しい発見がありました。実はファイヤー用の薪の準備が間に合わなかったのですが、炊事用の薪を工夫して、キャンプファイヤーらしく組む方法を発見しました。暗くならないとファイヤーは始められない訳ですが、幼稚園の子供なので、昼間の山登りなどの疲れで、途中で眠くなってしまう子供が続出します。短時間で盛り上げたいわけです。新しい方法は、これまでよりも大きくて派手に燃え上がり、しかも30分ぐらいで火が小さく落ちていくようにできました。10年以上やっているのですが、何事にもまだまだ工夫の余地はあるようです。夏の終わりには小学生対象のキャンプのボランティアも予定しているので、また工夫してみたいと思います。

 そんなわけで、農業の方はさっぱりですが、週末に村の草刈りがあり、ついでに近くの田んぼの草を少し刈りました。生育がゆっくりな有機栽培ですが、周囲の田圃に追いつきつつあります。4枚のうち1枚だけ、雑草が激しく出てしまいましたが、何とか秋までに刈ってしまいたいと思っています。畑の方は豆だけ蒔いて、とりあえずの作物はできていますが、いろいろ追いついていない状態です。それでも、キャンプに持っていく野菜は準備できましたし、塩田平にリフレッシュキャンプにやってくる、福島の子供たちのための野菜も提供する予定です。体調がやっと良くなってきましたので、農作業を再開したいのですが、夏本番で暑く、作業に適した時期ではありません。天気と相談しながら少しずつ進めて行くようにしましょう。

減反の確認と草刈り、東北の様子

 甲信越も梅雨明け宣言が出ました。最近の塩田平では、なぜか梅雨明けまでは全然降らなかった雨が多くなります。先週から眩暈が出るようになったので、大事をとって車の運転を控えているため、農作業が進みません。眩暈は、完全には止まっていませんが、程度と回数は減ってきました。一番困ったのは、体調も今ひとつだし暑いので、農作業も自粛して家で休んでいても、どんどん疲れてくることです。これまで溜まったら疲れが出てきているらしく、休めば休むほど疲れるという不思議な状態です。元々かなりハードスケジュールのところに、官邸まで何度も行ったり、有機農業の講習を手伝ったりと、無理したのがいけなかったのでしょう。数日大人しくしていたら少し楽になったので、週末は除草に精を出しました。

 週末が明けた月曜日は、村の減反の確認作業でした。役所の担当者が減反の届け出と実際が一致するかを確認するのですが、その補助をして、案内や確認のお手伝いをします。好天で雨よりは良かったのですが、炎天下で圃場を走り回り、減反田の状況確認と書類回収をお手伝いする作業で、予想以上に消耗してしまいました。終了後会費制のご苦労さん会があり、暑い中走り回った反動で飲み過ぎてしまいました。もっとも、他のメンバーは意気軒高で、日頃の鍛錬が足りないことを痛感しました。そう言えば、先週後半は古くからの友人が亡くなり、東北に行ってきました。その疲れも少しはあったかもしれません。そういうわけで、ここしばらくは農業はお休みです。丁度暑い時期なので、無理をしないようにしたいと思います。

 葬式のためにスケジュールをキャンセルしたので、官邸前原発再稼働反対行動に参加することもできたのですが、震災被災地に足を運ぶ機会は少ないので、福島市と宮城の海岸線まで足を延ばし、現状を見てきました。福島市は、新幹線の中で測っても塩田平の倍以上、つまり通常の4倍以上の空間線量があります。市内にはもっと高いところがあります。外部被曝だけで年間1mSvを越えてしまう線量です。それでもホールボディーカウンターで測った内部被曝は低いとのこと。内部被曝の主原因は食べ物です。福島市で、安全な食品が手に入るのか、自分の目で確認したかったのです。あまり時間がなかったので、駅ビル地下のスーパーを覗いてみました。やや高級指向の店かもしれませんが、傾向はわかりました。

 魚類は北海道から鹿児島まで、日本中のものがありました。近海のものはほとんどなく、「三陸北沖」と表示されたものが目立った程度でした。野菜類は東北一円および北関東のものが中心でした。海産物は引き続き高線量のものが出ていますが、野菜は測定結果が低くなってきているので、消費者が受け入れているのか、流通や費用の問題で近県にならざるをえないのか知りたいところです。ミネラルウォーターや保存食品は、関西や海外のもの中心でした。宮城県の津波被害は、仙台から電車でいける、松島の先まで行ってきました。松島の先は、まだ鉄道が復旧しておらず、連絡バスで野蒜駅まで行って見てきました。途中の線路や川は、電信柱や木が倒れたまま。野蒜駅構内も架線鉄柱も倒れたままです。

 駅前のコンビニも中はグシャグシャのままでした。松島湾内は岬や島に守られたのか、大きな被害は感じられませんでしたが、野蒜駅から海岸までの住宅街だったと思われる一帯は、ほぼ真っ平らになっていました。隣りが、津波被害が大きかった石巻です。石巻も4月に訪問しましたが、地上の瓦礫はほぼ片付いていましたが、基礎などはそのまま残っていました。野蒜は範囲が狭いからか、基礎も含め、かなり撤去が進んでいました。中学校は鉄筋なので校舎は残っていましたが、2階まで水が来たようで、窓などは破れたままでした。周囲の復旧も進んでおらず、再開の予定はないようでした。海岸部は、被害の片付けだけでなく、インフラも含め、今後の再建方針が立たないことも復興の妨げになっているようです。

 目の前の復興、放射の汚染対策から、食料の安全をどう確保して行くのか。原発再稼働で良いのか、将来どういうエネルギーを使って行くのか。震災/原発事故によって突きつけられたのは難しい問題ばかりです。でも突然発生したわけではなく、ずっと存在していた問題が浮かび上がって来て、目に見えるようになったに過ぎません。子供達にどういう社会、どういう国、どういう世界を残すことになるのか。これからの僕たちの選択にかかっているわけです。これまでもそれは同じだったのですが、そこに大きなリスクが隠されていることに気付いていませんでした。今やリスクは現実になり、東北の多くの地域の復興もこれからです。自分にできることを、一つずつ片付けて行くしかありません。

ハクビシンとめまい

 塩田平では麦の収穫がほぼ終わり、大豆の種蒔きが進んでいます。稲は田んぼ一面がみどり色になる位育って来ました。でもそれは周りの田んぼの話。わが家の田んぼは稲が一回り小さく、成長がもう一息です。有機栽培は生育に時間がかかる場合が多く、特に初期の生育はゆっくりです。でもここのところ暑い日が続いたこともあり、大分大きくなりました。秋には追いついてくれることでしょう。田んぼによっては成長が悪かったり、少し雑草が生えてしまったところもあります。着地が十分でない株を一株ずつ手で押し込んだり、せっせと雑草を取ったりしたのですが、丸一日かけても10メートル四方も終わりませんでした。梅雨明け前に何とかしたいと思ったのですが、まだまだかかりそうです。

 先週、春先に苗を植えたトウモロコシの1本が、動物に食べられました。まだ熟す前です。トウモロコシは毎年狸にやられるのですが、完熟に近づくまでは食べられたことはありませんでした。熟して来たら電柵を張ればいいと思っていたので、ちょっとビックリでした。その後2日ほど出張していたのですが、その間は動物の被害はありませんでした。電気柵はまだ大丈夫だな、と思った次の日、トウモロコシが全部食べられてしまいました。もちろんまだ熟していません。近所ではここ数年、ハクビシンという中国から渡って来た動物が悪さをする、という話が出てい狸には、車で夜道を運転している時に時々出会います。ハクビシンは、最近増えたと話には出るのですが、実際に見たことはありませんでした。ました。どうやらハクビシンかもしれません。

 トウモロコシは時期をずらして何回か植えているので、食べられてしまったのは、最初に苗を植えた少しだけです。その分はほぼ全滅ですが、これから次々に育って来ます。また食べられてしまっては大変です。というわけで、あわてて電気柵を設置しました。その後は大丈夫なようです。ただ、実がなっていたものはほとんど全部食べられてしまったので、次の実が育っていないので手を出さないだけかもしれません。そう思っていた先日のある晩、村の中の道路を車で走っている時に、不思議な動物がいました。狸より一回り大きいのですが、狐とは形が違います。何だろうと目を凝らしたところで、その動物がこちらを向きました。頭から鼻先にかけて、太い白い筋が走っています。話に聞いていたハクビシン(白鼻シン)のようです。うちの畑を荒らしたやつかは分かりませんが、初めてハクビシンと遭遇することができました。

 先週のある朝、目が覚めて寝返りを打つと、天井がグルグルと回りました。体がゴロゴロ動いているような感じです。実際には動いていないのですが、世界が回っているので、立ち上がることもそのまま寝ていることも出来ません。しばらくして落ち着来ました。どうやら目眩というもののようです。憶えている限り、こんな目眩は起こったことがありません。上半身を大きく回すと起こるようで、何度か世界がぐるぐる回りました。天井に焦点を合わせると、天井が左右に揺れています。もちろん天井は動いていず、僕も動いていないので、どうも目玉が勝手に左右に動いているようです。気にしても仕方が無いので、田んぼに水を入れに行きました。水尻を閉じようとしてしゃがみ込んだところでまた目眩が起こり、そのまま田んぼの水野中に倒れ込んでしまいました。顔は田んぼの泥に突っ込んでしまい、服もびしょびしょです。

 調べてみたところ、目眩の原因は沢山あるようで、怖い原因から原因不明のものまであるようです。症状から考えると、耳石というものが間違ったところに転がって行った結果のようです。できるだけ沢山目眩を起こしていれば、だんだん目眩の症状が軽くなり、早く良くなるそうです。原因は過労やストレスが多いとのこと。ずっと作業続きのところ、炎天下で1日田んぼの草取りをしていたので疲れ過ぎてしまったのかもしれません。いずれにせよ、運転中に突然目眩が起こっては危険なので、しばらく車の運転は自粛した方が良さそうです。過労のせいならしばらく休養を取らなければ。それで今週は静かにしていたのですが、じっとしているのに何故かどんどん疲れが溜まって来て、ますます体調不調です。暑くなって来たことも影響していそうですが、気を抜いたので溜まっていた疲れが表面化したのでしょう。

 夏本番になると時期遅れになってしまうので、何とか片付けてしまいたいと思っていました。時間さえあれば種蒔きや米作りに専念するつもりでしたが、軽トラが運転できないと仕事になりません。今焦るより、秋野菜や冬野菜に集中する方が良いようです。人参や法蓮草の収穫が2カ月ほど遠のいてしまいますが、その分秋野菜を沢山作ることにしましょう。今思えば、手のかからない南瓜をもう少し沢山作っておけば良かったのですが、後の祭りです。幸い豆類の種は芽を出してくれているので、それだけでもそれなりの収穫ができそうです。8月に入れば、白菜や人参の種蒔き、玉葱の苗作り、大根や野沢菜、法蓮草の種蒔きと、忙しくなって来ます。それまでは収穫した玉葱やニンニク、ラッキョウの整理、農機の修理などに専念することにします。

玉葱づくしでちょっと息をつく

 さすがに梅雨らしく、時々雨が降るようになった塩田平です。関東から友人が3日ほど農業の手伝いに来てくれました。おかげで気になっていた玉葱を収穫することができました。収穫が遅れているうちに雨が続き、雑草が勢いを取り戻して玉葱を覆いつつあったので、宝探しに近い収穫でした。収穫が終わった畑にトラクターをかけて雑草を鋤込んだのですが、探し損ないが多かったようで、そこら中から玉葱が出るわ出るわ。あわててコンテナを持って拾い集めたところ、コンテナ2箱位になりました。残念ながらロータリーの爪で傷ついているものが多く、すぐに食べてしまわなければなりません。さすがにコンテナ2個は食べられないので、近所の知人に食べてもらったり、立ち寄った人に持って帰ってもらいましたが、それでもしばらく料理は玉葱ばかりでした。

 小さくても傷物でも、有機で作っているので甘くておいしいタマネギです。いくら食べても飽きることも無く、楽しい玉葱づくしでした。キャベツもそろそろ大きくなり過ぎているし、収穫が遅れると保管が大変になるのでニンニクも収穫しなければ。そういえばそろそろジャガイモも掘り時かも。友人と遅れている種蒔きを優先して作業したので、玉葱以外の収穫は後回しになっています。そのかわり、玉葱跡と南瓜畑に肥料をやってトラクターをかけ、種蒔きが少し進みました。もう一息ですが、そろそろ1年で一番暑い時期。種蒔きも難しくなって来ます。そろそろ玉葱の苗床の準備や、田んぼの草取りも必要です。どちらを優先するか決めなければなりません。現状では、秋野菜までは種蒔きを諦めるべきなのでしょうが、悩ましいところです。農業はなかなか大変です。

 畑は友人とパートナーに任せ、先週金曜日も東京首相官邸前の抗議行動に参加して来ました。5人一緒だったので、車で行きました。ちょうど6時に着いたのですが、1週間前より沢山の人が集まっていて、列の後ろは既に六本木通りを通り越して伸びています。分岐して別の方にも伸びていて、列の最後がどこだか分かりません。一緒に行った中に初めて参加する人がいたので、あまり後ろの方では何をやっているのかわかりません。先週は列の反対側の歩道には自由に行けたので、そっちに行こうとして国会議事堂を一周したのですが、前回より非常に広い範囲で歩道が封鎖されていて近づけません。仕方が無いので地下鉄の地下通路伝いに比較的近くの出口から出て、官邸から道一本隔てたところに辿り着きました。はす向かいの抗議行動先頭のスピーチも良く聞こえ、周りに少しずつ人も増えて来て、それなりの抗議もできました。

 一対何人集まったのか。増えているのかに関心があるのですが、実は良くわかりません。主催者発表は15万人で、前回の15-18万人より少ない印象です。警察発表はこの3回で、1万1000人、1万7000人、2万1000人と増え続けています。数自体がどう考えても全然違うのですが、一説によると警察は開始時(6時)の参加人数を数えているそうです。仕事が終わってから参加するので6時に着いている人はごく一部。参加する人の列は延々と続いていました。主催者も、前回は予想以上で数えるのが難しかったけど、今回はスタッフの数もかなり多い印象だったので、正確に数えたということかも。開始して間もなく雨が降り始め、解散宣言が出た頃には本降りになっていたので、あるテレビ局は、雨でも再稼働しても前回と同じ15万人が集まったことに驚いたと報道していました。毎回初めての人が一緒なので、勝手に歩き回るわけにも行かず、自分の目での確認ができないのがちょっと残念です。

 僕個人も、これまで政治に関心を持たなかったことが、官僚や電力会社の暴走を招いてしまい、原発事故による大規模な汚染と人命を失うことになってしまったことに責任を感じています。だからこの全く新しい形の抗議に参加しています。毎週金曜日に行われている抗議行動は、デモでも集会でもなく、赤ちゃんから老人まで、本当に老若男女がまんべんなく集まっています。10万人以上の人が集まったにも関わらず、小競り合いすら無い。主催者が解散を宣言すると、粛々と帰って行く。こんな主義主張や男女や年齢も全く関係ない集まり、それも自然発生的な集まりは、日本の歴史で初めてのことだと思います。歴史が作られている。このまま人が増え続ければ、歴史の教科書に載ることになるでしょう。そういう現場に立ち会うことができる瞬間だと思います。日本には民主主義は育たなかった、というのがこれまでの僕の考えだったのですが、今民主主義が育ちつつあるのかもしれないと思っています。

 食べ物が無くては人は生きて行けないので、農業は重要です。民主主義、政治、官僚、原発がどうなるかにかかわらず、毎日の食べ物は必要だからです。と思いつつも、仕事や放射能対策も必要だし、原発に関することにも時間を割かざるを得ない毎日です。こうなってしまったのも、電力業界や政府だけでなく、自分にも責任の一端はありますので、仕方ありません。というわけで、出張が無く家にいる日は、朝5時前に起きて種蒔きをして、それから仕事や書き物といった日々です。今朝ももトラクターでもう一度草を抑えてから、莢隠元と枝豆を2列ずつ、モロッコ隠元を1列、白瓜も1列種蒔きをして来ました。まだ空いている畑が沢山あるので、もうしばらく早起きを続けたいと思います。

塩田平便り:大根が凍結した朝

 先週の塩田平は少し冷え込みました。雪が降ったり、天気予報で最低温度がマイナス3度を下回ったり。わずかに積もった程度でしたが、12月上旬に雪が降ることは珍しいので、この冬は寒さが厳しいのかもしれません。大根が凍ってしまいます。仕事が終わってから、慌てて残った大根のうち、大きいものだけ抜きました。既に畑の土は凍り付いています。夕方5時には真っ暗ですので、暗闇の中での作業です。1畝の取り残しから大きなものだけを集めたのですが、コンテナ5個が一杯になりました。幸い畑の横に1本だけ街灯があるのと、ほぼ満月で晴天でしたので、これらの明かりだけで何とか作業できました。

 この晴天がくせ者なのです。雲という断熱材が無いので、夜になるとどんどん気温が下がってしまうのです。収穫を終えて仕事をしていても、段々寒くなって来たので、一度火を落としたペチカに火を入れ直しました。翌朝も良く晴れていて、外気温はマイナス5度。さすがにペチカの力で室温は8度ほどありましたが、外の大根は葉っぱも根もカチコチに凍っていました。穫り残した大根のうち、どれ位が大丈夫か気になるところですが、そのまま出張です。マイナス10度以下になることもある塩田平ですので、マイナス5度位はなんてこと無いのですが、12月の初旬は珍しいことです。

 幸い水道は凍りませんでしたが、忙しくて凍結防止ヒーターも準備していないので、次の寒波が来る前に準備をしなければ。予報ではしばらくは寒くならないようですが、これ以上冷えるとキャベツも凍結してしまうので、そろそろ収穫しなければならないかもしれません。ペチカの薪の準備も追いついていないので、本格的に寒くなる前に頑張らねばなりません。薪と言えば、10日ほど前の村の忘年会でありがたい話がありました。その日は4つも飲み会が重なってしまい、30分ほどで早引けしたのですが、何とその間に、最近村に越して来て、薪ストーブを設置した若い人から、「薪をもらえるので一緒に取りに行きませんか」と話があったのです。

 川に自生してしまったニセアカシアを伐採したものが、川縁に積み上げてあり、持って来て良いそうです。乾燥させねばならないので、次の冬の薪になるわけです。ありがたいことに毎年こんな形で、誰かがただで薪をもらえる話を持って来てくれます。早速うちのトラックを出動させ、クレーンで吊り上げて運んで来ました。伐採した人がプロだったらしく、トラックの荷台の最大幅2メートルに揃えて切ってくれているので、積み込みやすくて助かりました。今年こそ冬場に時間を作り、早めに薪の準備を進めたいものです。とりあえずは今晩の薪を割らねばならないので、まずはこの状況を抜け出す方が先です。前途多難ですが、薪が準備できたので一安心です。

 先週末も忘年会続きでしたが、運んで来た薪を降ろしたり、野沢菜の収穫をして漬込んだりしました。毎日少しずつ野沢菜を収穫したり漬けて行っています。今日も先輩が手伝いに来てくれ、野沢菜をコンテナに3つ収穫してくれました。それでもまだ全体の半分も収穫出来ていませんし、漬けたのは2割位でしょうか。寒くなったので葉が枯れ始め、段々小さくなってきました。早めに漬込んでしまいたいものです。お米の方は、やっと全部の田んぼの脱穀が終わりました。1俵ほど米が増えただけで、何となく安心できる気がするのが不思議です。畑に残った野菜は、ボランティアの人たちが収穫に来てくれ、福島に送ってくれます。そろそろ田畑を片付けたり、来年の計画を立てたりしはじめなくては。