久々にトラクターで畑を耕す

引き続き暑い日々が続きますが、お元気でしょうか。塩田平では、お布団農法の田んぼが一番難しい時期にさしかかりました。お布団農法では、最初苗が水に浮いた状態で育つのですが、その苗を水を抜いて「着地」させる時期になったのです。田んぼに窪みがあると、水溜まりになって完全に水が抜けず、その部分は「着地」できません。着地出来ないと、地に足がつかない稲になり、倒伏してしまって収穫まで辿り着かないのです。残念ながら今年は田んぼを完全に平らにする余裕が無く、結構な面積の水溜まりが出来てしまいました。溝を掘っても水が抜けず、稲を踏みつけて着地させるという荒技を試しているところです。稲は強い植物なので、多分大丈夫なはずですが。

 

一部田植もしたのですが、その除草も今が勝負です。田の除草は初期の対応が非常に重要です。また、水深を深く保つことが重要です。しかしお布団の着地のために水を抜いているので、どんどん雑草が出てしまいます。少し前にも除草をしたのですが、除草機を貸した人が、株間除草機を返してくれなかったので、株間にびっしり草が生えてしまいました。機械を返してもらったのですが、壊されていて、先日やっと修理して除草しましたが、既に草が大きくなっているので、効果のほどは不明です。次の週末にでも、手で取るしか無いかもしれません。お布団農法でなく田植をしたのは全体の1/4程度なので、除草面積はそれほど多く無いとは言え、手取りは大変な作業です。

 

実は6月中に豆蒔きをしてしまわないとならないのですが、それが遅れていて、田の除草まで辿り着けないのです。畑は原則不耕起ですので、草だけ刈って種を蒔いたり、土をかけるために管理機で少し土を掘ったりする程度で、あまりトラクターは使いません。ただ、大豆やタマネギなど、大面積同じものを作る場合は、除草効果を高め、播種/植付け効率を上げるために、トラクターで浅く耕します。最近は田んぼ以外は人にお任せモードになってしまっていたので、畑でトラクターに乗ることはほとんどありませんでした。田んぼは代掻きをしないと水を溜めることができないのと、一斉に田植/お布団敷きをしなければならないので、5月初めにトラクターで代掻きをしました。

 

今年は大豆を1反以上作りたいので、先週久しぶりに畑をトラクターで耕しました。主力のトラクターが壊れているので、出動したのはかわいい小型のトラクターです。運転は車とほとんど同じで、向きを変える時にロータリーを上げ下げするだけです。トラクターが定速で動き続けてくれますので、アクセルの調節の必要もありません。減反田ですので、水平で耕起も簡単です。パートナーにトラクターの使い方を教えてみたところ、すぐに慣れて、思ったより上手に耕起してくれました。その間に草を刈ったり排水溝を掘ることができ、大分助かりました。豆蒔きにはもう一度耕さねばなりませんが、1週間遅れで7月初め位には大豆を蒔けるかもしれません。

 

色々な作物を育てようとすると、それぞれの時期が重なってしまいます。豆蒔きも、野菜の種蒔きも、田の除草も同時にやらねばならなくならないように、事前に計画を立てる必要があります。それでも、年によって天候が違うので、スケジュール通りには行きません。種を蒔いても芽が出無いこともあります。鳥獣害でやり直しもあります。ところが今年は原発事故で農業の開始が遅れてしまいました。計画も立ててないのに、沢山作ろうとしています。その上例年にない天候や鳥獣害で被害が出ています。作業が衝突してしまって当然なのです。本当は今からでもちゃんと今後の計画を立てるべきですが、それよりもまず豆を蒔かなければ。

わが家のLOCA(冷却材喪失事故)

先週までと打って変わって、毎日蒸し暑い塩田平です。6月も後半ですから暑くなってくれないと困るのですが、梅雨時のこととて蒸し暑く、ちょっと参っています。暑いだけでなく、何だか身体のあちこちが痛い1週間でした。最初は理由が良くわからなかったのですが、良く考えてみると10日ほど前に薪をいただけるという話がありました。軽トラで見に行ったのですが、とても軽トラに積める量ではなく、とりあえず積めるだけ積んで帰って来て、うちの大きいトラックを出動させ、2往復したのでした。3トン位の薪をいただいて来たでしょうか。その積み降ろしが原因のようです。

 

生木ですし、切り出しの時期ではないので水分が多く、1年以上の乾燥が必要です。でも薪のストックが1冬分あるかないかになってしまったわが家に取っては、1-2メートルに玉切りしてある薪をいただけるわけですから、大喜びです。問題は、筋肉痛が出たのが2日後ではなく、4日以上経ってからだった、ということの方です。もう年なので、当日や翌日の筋肉痛は無いとしても、ずいぶん経ってるなあと、改めて老化現象を認識したのでした。この春農業に本格復帰した当初も、思うように身体が動かず往生したものでした。どうも普段からそこそこ重労働する方が健康でいられるようです。

 

調子が悪いと言えば、わが家の農機も全部不調になってしまいました。去年農業を手伝ってくれた人が、機械に明るくなく、必要な手入れをしていなかったようです。大きなトラクターを壊されてしまったのですが、大豆を作る減反田を耕したいので、しばらく使っていなかった小さなトラクターを整備しました。すぐにエンジンはかかりませんでしたが、バッテリーを充電し直して試してみると、かかりました。さっそく次の日、家の近くの畑にを1畝だけ耕してみました。順調です。これで野菜の種も蒔けます。家に帰る途中、切れたゴムベルトが道に落ちていました。何かに使えるかもしれないと思い、拾って軽トラの荷台に載せておきました。

 

今思うと、この時に気付けば良かったようです。雨や義父の法事などで2日ほどおいてから、広い畑を小さなトラクターで耕し始めました。畑を2往復した頃、エンジンから立ち上る湯気がちょっと激しすぎることに気付きました。とりあえずエンジンカバーを開けてみてビックリ。ラジエターから大量の冷却水が蒸気とまざって噴き出しています。エンジンが過熱し、沸騰した冷却水が高圧になり、逃がし弁から噴き出しているのです。どこかで聞いたことのある「ベント」です。しかも既にかなりの冷却材(冷却水)を失っていて、このままでは冷却材喪失事故(LOCA)となり、エンジン部品が溶融して焼き付いてしまいます。シビアアクシデント一歩手前です。

 

あわててエンジンを止めました。エンジン止めさえすれば、これ以上悪化することは無いはずです。よく見るとファンベルトがありません。先日落ちていたのはトラクターのベルトだったのです。ラジエターに冷却用の風が当たらず、自然放熱だけでは冷却しきれないので、ボイルアウトしてしまったのでした。ラジエターに注水したところ、2リットルほど入りました。ベルトを買って来て組み付けたので、循環冷却が回復します。どっかの原発と同じですね。大きさや複雑さは違っても、熱機関の基本は全く同じことに、改めて感心しました。ただ、核燃料は止めても熱が出続けます。それを冷やすには、常に外から電力を供給し続けてやらねばならず、それが大事故につながったのです。

 

わが家のLOCAは幸い大事故になる前に収束し、無事に畑が耕せるようになりました。豆蒔き予定地の耕起が半分位終わりました。2週間遅れ位で何とか豆蒔きができそうです。米作りの方は、先週からお布団農法の苗の着地が始まっています。残念ながら代掻きで均平にしきれなかったので、水溜まりが出来て着地出来ない苗も結構あるようです。今年は遅れてのスタートだったし、最初から条件が悪かったので仕方ありません。溝を切ったりして、排水に務めています。最後に敷いたお布団が、次の週末に着地の段階に入りそうです。山の田は鳥か動物に芽や種籾を食べられてしまったらしく、残った苗を植えて回復を図っているところです。

1カ月遅れのスタートでしたが、どたばたと2カ月ほどやってきました。田の水管理に失敗した部分は雑草が増えそうなので、除草に手間を取られそうですが、間もなく手がかからなくなる予定です。田に忙しく、お留守になっていた畑は、これから種蒔きで巻き返しです。修理待ちの機械が沢山あったり、電気柵の設置の仕方が悪く、漏電していることが分かったりと、トラブルも多いものの、もう一息で遅れを取り戻せそうです。福島では引き続き放射能放出が続いていて、目が離せません。今は放出も少なくなっていますが、大放出の可能性も残っています。地下水や環境へどのような影響が出るかも未知数です。作物を作る位しか出来ることが無いので、とりあえず生産に務めたいと思っています。

引き続き田んぼに手を取られる

梅雨寒、という言葉を思い出す塩田平の今日この頃です。暑くないので農作業は楽です。薩摩藷が根付くまでは晴れないで欲しいので良いのですが、この状態が続くと稲の活着や成長に影響が出ないか心配もあります。先週一番大きな田んぼの台風で流されてしまったお布団(布マルチ)の最後の修正を試み、修正しきれないところは手植えで田植をして、全ての田植が終了しました。家の近くの田んぼのお布団からは稲が順調に芽を出し、2葉期に入ろうとしています。とりあえずこれで一段落かと思いきや、失敗もあり、引き続き田に手を取られています。

 

山間の田んぼは水温や日照などの条件が悪いせいか、芽が出始めたかな、という程度です。普通に田植をしている周りの田んぼの稲はもう青々しているので、ちょっと焦りますが、夏の気温が低くなければ追いつける予定です。早生の布マルチが足りなかったので、こちらも2畝弱田植をしました。水の管理は朝一番に水を入れて昼間の太陽で温度を上げねばなりません。出張中の管理を子供に任せたところ、夕方水をかけ始めただけでなく、一晩中掛け流しにしてしまいました。夜間に冷たい水が大量に入ったため、田植えした苗が3割位枯れてしまいました。

 

山の田んぼも動物の襲撃を受け、お布団が踏み荒らされただけでなく、芽も出て来ません。鳥の足跡も沢山ついていたので鳥に芽を食べられてしまったのかもしれません。水を抜いて様子を見ているところです。少し苗の残りがあるので、補植したいところですが、低温で予備の苗も弱っているのと、雑草が目立つので、まず除草をしました。除草すると植えたばかりの苗は抜けてしまうので、何回か必要な除草が一段落してから補植することになります。除草も、知人に貸していた除草機が壊れて帰って来てしまい、修理に半日かかって遅れてしまいました。

 

6月は薩摩藷と豆類の蒔き付けの時期です。苗が終わる時期になってしまったので、とりあえず薩摩藷を残りの畝に植えました。梅雨というのに雨は少ないのですが、曇りがちで気温が低めなので、水をやらなくても大丈夫そうです。薩摩藷の苗は根が無いので、晴れが続くと枯れてしまうのです。今年は梅雨入りは早かったものの、宣言が出るとなぜか好天が続くのは例年通りです。4月中旬からダッシュでやって来た農業ですが、葉菜類の種蒔き以外は、何とか追いつけそうです。葉菜を蒔くにはトラクターを修理したいところですが、そこまで辿り着けません。

 

梅雨なので草の生長が非常に速く、1週間で30センチ位伸びます。種蒔きをしようと草を刈っても、半月手が付かないと見渡す限りの雑草の海に飲まれてしまいます。また草を刈って畑を起こさないと種が蒔けません。それでもまた知人が手伝いに来てくれ、いくつか種を蒔いてくれました。ちょっと安心出来ますが、本当はもう1列蒔いてくれる予定が、子供が場所を片付けていなかったので、途中までで終わってしまいました。豆を蒔くための畑も借りてあります。もう一息なので、さっさと田んぼを片付けて、除草して、豆や種をを蒔いてしまわねば。

何とか田植が山を越しました

時々雨が降るものの、天気の日が多い塩田平でした。梅雨入りは早かったものの、宣言が出るとなぜか好天が続くのは例年通りです。先週植えた薩摩藷が、好天で枯れてしまうのではないか心配でした。週末に見に行ったところ、葉が大分枯れていましたが、幸い土には水分があり、水をやらなくても根付きそうでした。まだ1/4しか植えていませんが、残りは天候を見ながらもう少し先にすることにしましょう。薩摩藷の苗は根が無いので、晴れが続くと枯れてしまうのです。4月中旬からダッシュでやって来た農業ですが、葉菜類の種蒔き以外は、何とか追いつけそうです。

 

お米の方は、わずか2反5畝の田んぼです。それが5枚に分かれているので、条件は良くありません。スタートの遅れと、例年に無い台風と猪の被害で苦戦してしまい、お布団を敷ききれませんでした。さすがに6月に入ってお布団農法では遅過ぎると思ったので、先週ほんの苗箱2枚の田植をして、お布団敷き/田植が終了しました。全体の95%はお布団農法です。1度は猪に破られた電柵ですが、幸い修理した後は猪も来ていないようです。3回も侵入されたので、既にお布団は穴だらけのぼろぼろで、半分位しか除草効果が無いかもしれません。そういえば、2年前は鴨の大群に襲われ散々でした。自然相手はなかなか大変です。

 

ただ、一番大きな田んぼの修復が残っています。台風で水路から大量の水と雑草の種子が流れ込んでしまったのです。大量の水と種子類と稲株の砕かれたものが流れ込み、お布団が半分近く押し流されてしまいました。しかもお布団の上は草の種だらけ。お布団からは稲の芽が出始めました。台風に流されてしわくちゃなままではうまく育たないので、週末慌てて修復に励みました。子供にも手伝わせましたが、6割ほど終わったところでしょうか。もう少しやってみるつもりですが、修復しきれないところは田植をし直すしかありません。雑草の種が流れ込んだところと田植をした所は、草を抑えられないので、除草するしかなさそうです。

 

週末知人も手伝いに来てくれたので、畑の方も少し進みました。生い茂っていた雑草を退治して、懸案のカボチャの種蒔きができました。予定に遅れること3週間ですが、何とか間に合うでしょう。家の近くの畑では、大根葉、小松菜、法蓮草などが生い茂っています。食べきれない量ですが、販売までは手が回りません。しかも次の種蒔きが出来ていません。葉物野菜の収穫時期は短いので、間もなく食べるものが無くなってしまいます。計画通りに種蒔きする余裕が無かったのです。農業は天候との相談なので、多めに作っておかないと足りなくなってしまいます。多すぎた場合は売らなければ無駄になってしまいます。田んぼが何とか山を越えたので、次は畑の計画を練り直して、どんどん種を蒔いてしまいたいところです。

主食になる米と芋を確保

先週末を待たず、塩田平も梅雨入りしました。ついでに台風も襲来しました。塩田平に住み始めて十数年。正確な記憶ではないのですが、5月に梅雨入りしたことも、台風が来たことも、これまでには無かったように思います。山々に取り囲まれた塩田平ですので、台風で大きな被害が出ることは少ないのですが、水路から田んぼに大量の水とゴミが流れ込んでしまいました。せっかく敷き終わったお布団が半分近く流されました。すぐに直したいところですが、代掻きしかけで、まだお布団を敷いていない田んぼが残っています。まずはこちらからです。

 

山奥の、標高が高い谷間の田んぼです。一昨年初めて作った時は、低温でいもち病が出てしまい、大分減収してしまいました。昨年は作る余裕がありませんでした。お布団敷きが遅れているので、十分な生育期間が取れるかが問題ですが、極早生の種子が入ったお布団が少し余っているので、それを使うことにしました。極早生ではありませんが、他の田んぼに敷いた残りのお布団も、濡らしてしまったので使ってしまわねばなりません。2枚で1反弱の田んぼですが、お布団だけで7畝分位あります。残りは田植をすれば、こちらはちょっと遅いだけなので、生育の問題は何とかなるでしょう。

 

残念ながら週末は雨でしたが、どうせ田んぼの中は水浸しです。パートナーと2人で、残りの代掻きとお布団敷きを分担しました。代掻きが完了し、小さい方の田んぼにほぼお布団を敷き終わりました。2畝半ぐらいです。翌日から、もう1枚の大きい方の田んぼにお布団を敷きました。5畝分あった極早生のお布団の残り2畝半分をまず敷き、余り物のお布団で1畝分ほどが敷けました。あと1畝半か2畝植えねばなりませんが、ここまでで時間切れです。お布団を敷いて水を入れないことには稲の芽が出ないので、そこまで辿り着けただけで良しとしましょう。

 

2週間ほど前に3枚の田にお布団を敷きました。1枚は順調ですが、山の田のお布団は猪にやられて大きな穴が開いています。一番大きな田のお布団も、台風で出た水に押し流されてしまいました。この修復も必要なのですが、週末にはまだ芽が出ていませんでした。芽が出るまでは、とりあえず水にさえ漬かっていれば良いのです。実はカボチャの種蒔きと薩摩藷の植付けが終わっていないのが気になっていました。カボチャを作る予定の畑は草ぼうぼうで、何の準備も出来ていません。これは時間をかけねば出来ないのですぐには難しい。薩摩藷は畝立てしてマルチも張ってあります。

 

一部だけでも薩摩藷を植えようと思って、週末に種苗店に少し苗をお願いしてありました。ところが雨で入荷が遅れているとの電話が来ました。田んぼの作業が遅れていたので、ちょうど良いと思っていましたが、入荷連絡の電話が来ないまま週末が終わってしまいました。薩摩藷の植付けはちょっとしたコツがあり、慣れればあっという間に植付けが出来ます。ちょっと余裕があれば植えられると思って、種苗店に電話したら、苗があるとのこと。台風でマルチが剥がれていたりしてちょっと時間がかかりましたが、早速植付けました。気になることは沢山残っていますが、これでカロリーは確保出来そうです。

電気柵突破される

5月も下旬になりました。そろそろ暖房は要らないかと思っていましたが、先週末思ったより寒く、お客さんが居たこともあって、ペチカに火を入れました。その後もストーブを点ける日がありました。記憶にある限りでは、5月下旬に暖房が必要だったことはありません。ただ、最近は老人達と同居しているので、室温を高めに保っていました。それ以前は、省エネ重視で暖房を節約していたので、これ位の気温は気にしなかったかもしれません。野菜の成長などを見ますと、春先が例年より寒かったのは間違いありません。これからも気温が低いのか、例年並みになるのか、暑くなるのかが気がかりです。

 

というのも、もう少し田んぼを作ろうかと思っているからです。今必死に代掻き中ですが、耕作放棄田でしたので、凸凹が激しい上に水が溜まりません。予想外に時間がかかっていますが、次の週末には田植が出来そうです。田植なら時期的にも充分間に合うのですが、普通に田植をすると雑草が出て来ます。有機無農薬の米作りで一番大変なのは雑草対策です。できればお布団農法でやりたいのですが、さすがに遅過ぎます。でも、もし夏の気温が高ければ、収穫出来るのです。さすがに全滅は困りますので、半分お布団農法、半分は普通の田植で作ってみるつもりです。

 

大雨で、既にお布団を敷いた田んぼの1枚に水路から予想以上の水が流入し、お布団の一部が流されてしまいました。他の田んぼはどうかと見に行ったところ、山の田んぼでは電気柵が突破され、お布団が一部破られていました。地上25センチに張った電線が60センチまで押し上げられていて、小動物なら簡単に通れてしまいます。隣の地主さんの田んぼの田植がこれからなので、危険が無いよう柵を張ってなかったところから入り、出て行く場所に困って中から外側に無理矢理押し渡ったようです。電気ショックと言っても、力で押し切れば簡単に突破出来るものではあります。

 

柵を突破された時の問題か、電気が通らなくなっていました。雨が多かったので、雑草の伸びが思ったより早く、電気柵の電気が漏電して利かなくなってしまったのかもしれません。とりあえず柵を直し、草を刈り、バッテリーを交換しました。これで一安心です。ただ、隣の地主さんの田んぼを通って侵入される場合はどうしようもありません。その田んぼも次の週末に田植の予定で、田んぼに田植機も来ていました。毎年田植の後には電気柵を張ってくれていますので、もうしばらくの我慢です。穴を開けられたお布団は、次の週末に敷き直す予定です。

 

今年は震災や原発事故で日本の農業生産も厳しいと思い、出来るだけ沢山の農産物を作りたいと思っています。ここしばらく、忙しくて農業は少し手抜きになっていたのと、原発事故で春先の出だしが遅れてしまったので、四苦八苦しています。でもお手伝いして下さる方も増えているので、何とか追いつきつつあります。春先、父が種を蒔いてくれた野菜類が、少しずつ収穫出来るようになって来ました。畑の半分位は植付けが終わりました。6月に入って、豆類、薩摩藷などの植付けが終われば、一息つけます。大豆は少し沢山作りたいのですが、もうちょっと頑張れば、何とかなりそうです。

山の田に猪出現

天気の良い日は暑い位の塩田平です。先週末、知人の若い女性2人が手伝いに来てくれ、遅れていた田んぼも大分進みました。何年か人に作ってもらっていたので均平が取れていない田が多く、代掻きに入って初めてそれがわかりました。出張等も多いのですが、塩田平にいる日は、時間を見てはトラクターで代掻きに励みました。代掻きだけでは修正しきれないのですが、これ以上遅れるとお米が出来なくなってしまう恐れがありますので、代掻きと平行してお布団を敷き始めました。月曜日までかかりましたが、何とか3つの田のお布団敷きが終わりました。これで一安心です。

 

総合的に考えると、10日ほどの遅れで種蒔きが終わったと考えても良いのかな、とおもっていましたが、翌日塩田平を車で走っていると、まだ一部ですが、既に田植が終わった田んぼがちらほら目につきました。もちろん、代掻きしただけの田も、荒起こしして水を入れた段階の田も、荒起こしだけで水も入れていない田も多いので、それほど心配する必要はないはずです。春先気温が低かったので、直播きではどうせ芽が出ません。夏暑ければ、充分追いつけるはず、と頭では分かっているのですが、自分の種蒔きと人の田植が同じ日というのは、ちょっとショックな光景ではありました。

 

家の周りでは、まだ代掻きも珍しいので、大丈夫とは思いますが、人の作業は気になるものです。しかしそれ以上にショックだったのは、山の田んぼに猪が出たことでした。土曜日の午後にお布団を敷いたのですが、少し敷き残してしまいました。日曜日の午前中に、続きを敷きに行ってみると、昨日敷いたお布団が足跡だらけです。水に浮かべているので、破られてしまって足の形が分からないのですが、穴だらけです。多分鹿では無く猪でしょう。他に鳥の足跡も沢山ついていました。とりあえず少し修正し、前日敷き終わっていなかった部分にお布団を敷いて帰りました。

 

猪のことが気にはなったのですが、一番大きな田んぼにお布団を敷かなければなりません。これまでも鹿や猪に悩まされて来たのですが、春先に出たのは初めてです。夏の終わりの稔り始めた頃に出始めるのが例年のことでした。これで来ないでくれると良いと思いながら帰りました。翌日、大きな田んぼにお布団を敷き終わって直ぐに見に行ってみて大ショックでした。昨日は穴が開いていただけでしたが、そこら中で引きずられて、お布団がよじれています。2-3割は水面が見えています。これでは直ぐに電気柵を張らねばなりません。電気柵を張るには、まず草を刈らねばなりません。

 

既に日が傾いていたのですが、とにかく電気柵を家から持って来て、草を刈り始めました。暗くなり始めましたが、草刈もほとんど終わっていません。とても電気柵の準備までは無理そうです。実は電気柵を持ってくる時に、家に動物避けの薬があったことを思いだしたのでした。正露丸と同じ成分で、臭いは強いのですが害はありません。動物の知らない臭いを嫌う性質を利用して、動物を近づけないというものです。狸避けに使ったことはありますが、猪に使うのは初めてです。幸い在庫が沢山あったので、4箱を田の周囲に撒いて帰りました。翌朝見に行ってみると、被害は増えていません。薬が効いたようです。一安心です。その後2日かけて、少しずつ電気柵を設置できました。

野菜種蒔きは順調。田植は完了できず

ゴールデンウィークの塩田平は比較的好天が続きました。家族や知人も手伝いに来てくれ、連日5人で農作業に専念していました。原発事故でスタートが遅れた農業も、これで追いつくかな、と期待出来ました。おかげさまで種蒔きや苗の植付けはほぼ目標を達成しました。キャベツや白菜、ネギなどの苗を植付け、葉菜類や豌豆、枝豆、トウモロコシ、牛蒡、大根などの種を蒔き終わりました。畑の半分位は種蒔きが終わり、もうほとんど芽が出ています。残りの畑には、夏野菜を植えますが、今年は気温が低めなので、もうしばらく霜が降りる危険があります。霜に弱い夏野菜は来週末以降に植えた方が安全です。

 

田んぼは残念ながら予想以上に苦戦してしまいました。昨年の減反時に、大きい方2枚の田んぼで野菜を作ったのですが、畝立てしたまま平たくされていませんでした。その上、収穫残さが1トン近く放置されていました。まずその持ち出しで時間がかかってしまいました。それからトラクターで畝を削って平たくしてみたのですが、田んぼ全体で真ん中がへこんで周りが高くなっています。これでは田んぼになりません。トラクターの使い方が下手なときの症状です。昨年一緒にやってくれた人がトラクターをうまく使えなかったようです。昨年は忙しくて、全然手伝えなかったのでしかたありません。

 

それでもゴールデンウィーク中には何とかなるかな、と思っていたのですが、代掻きの途中でゴールデンウィークが終わってしまいました。代掻きで凸凹を直そうと思ったのが失敗で、畝が残っているのでトラクターが安定せず、ちっとも平らになりません。昨年村の役で忙しく、ほとんど田の耕起や代掻きをしなかったので要領が悪くなってしまっているのかもしれません。借りたトラクターだったので、土を引く力が今一つ弱かったこともあります。仕方なく毎日延々トラクターに乗っていたので、トラクターのエンジンを切っても、頭の中でトラクターのエンジン音が鳴り続けている位でした。

 

トラクターで耕起していると、土の中から出てくる虫を目当てに、色々な鳥が飛んで来ます。不思議なもので、鳥達は、轟音を発しているトラクターが近づいても平気です。あちこちを突つくことに忙しいようです。代掻きしていると、蛙が巻き込まれそうになります。蛙一匹を気にしても仕方ないのですが、あわててブレーキを踏むこともあります。ジャンボタニシが歩いているのも見かけました。種蒔きが終わると、もっと色々な生き物が現れます。直播きなので、田の種蒔きはできれば4月中に終えたかったのですが、次の週末、つまり5月中旬になってしまいます。

 

5月の最後の週には、周りの田んぼで田植が始まります。種蒔きと田植が同じ時期ということではまずいのですが、仕方ありません。今年は春の気温が低めだったので、周りの田植も少し遅れて、秋には同じ位に育つかもしれません。種蒔きと言ってもお布団農法と言う農法なので、綿のシートに種籾が埋め込まれたものを敷き詰めます。敷く直前に代掻きした方が敷きやすいので、もう一度さっと掻いて敷いて行きます。一昨年は鴨が沢山やって来て、種籾をみんな食べられてしまいました。鴨が昔のことを忘れてくれていると良いのですが。次の週末には、ナスやトマトといった夏野菜も植付けたいので、ますます忙しくなりそうです。

ひたすら田畑に通うゴールデンウィーク

塩田平を囲む山々にみどりが芽吹き始めました。家の近くで、狐や狸、雉子を見かけます。家の周りの田んぼにも、稲の苗を育てるトンネルが並んでいます。わが家の田んぼは直播きなので、本当ならわが家でももう種蒔きが終わっていなければならない季節です。原発事故のおかげで1カ月以上スタートが遅れてしまった農業ですが、何とか追いつこうと奮闘中です。父が農業に熱心なおかげで、畑や田んぼを遊ばせずにすみそうです。ゴールデンウィークに入り、知人や東京に住んでいる母が手伝いに来てくれ、残った種蒔きや苗の植付けが進みました。

 

その間に、田んぼに必要なトラクターの整備をしようとしたのですが、バッテリーを充電して起動したところ、クラッチが固着しています。思ったより重症です。修理するには時間とお金がかかりそうです。田んぼに間に合いません。仕方ないので知人にトラクターを借りることにしました。ゴールデンウイークは機械整備に時間がかかると思っていましたが、管理機を整備しただけで、トラクターは貸してもらって田んぼに向かいました。田んぼは4枚あるのですが、1枚が減反の年なので、今年お米を作る田んぼは3枚です。

 

先週末から今日まで、毎日のように田んぼに通っています。ちょっと面倒なのは、2枚の田んぼが昨年減反で、野菜を作っていたので畝が立ててあって凸凹です。田んぼによっては昨年作った作物の片付けが終わっていません。脱穀した稲藁や、大豆の豆殻などが田んぼに山になっています。まずはその片付けからです。軽トラを田んぼに入れ、フォークで積み上げます。1枚の田んぼは湿田で、軽トラが沈んでしまうので、一輪車で運びました。それから肥料を撒いたり、トラクターで荒起こしをしました。ひたすらトラクターに乗って、田んぼをぐるぐる回ります。

 

何とか荒起こしは終わりました。表面だけ薄く耕起する農法なので、比較的時間がかかりません。荒起こしが終わった順に、田に水を入れて行きます。田圃の面積にもよりますが、田んぼ全体に水が溜まるには一晩では足らず、2-3日かかります。ほぼ水が入ったので、明日から代掻きです。荒起こしはトラクターにロータリーという機械を付けて起こしました。ロータリーをドライブハローという機械に交換して代掻きをします。ロータリーでも代掻きも出来るのですが、ドライブハローの方がスピードも速く、幅も広いので、大分早く終わるのです。

 

田んぼには猪の足跡、畑には鹿の足跡があったので、気になっていたのですが、田を片付けて、次の日に行くとまた新しい足跡があります。畑では、ネギを植えた畝の上を歩いて、マルチに穴を開けていました。山の中の田は、電気柵を設置するしかなさそうです。ゴールデンウィークの目標は、何とか代掻きを終えて、田んぼに種を蒔いてしまうことです。今のところ例年より約1週間遅れていますが、今年は春の気温が低めで、桜が咲くのも遅かったので、田のスケジュールも少し遅れて当然、と思うことにしています。目標達成はちょっと厳しいかもしれませんが、米は重要物資なので、まずは種蒔きを優先して、畑や電気柵はその次ということになりそうです。(合原)

やはり沢山作物を作らねば、と格闘中

塩田平では桜が満開です。雨も多く、天気が良いとはいえないのですが、これまでがずっと日照り状態だったので、畑には恵みの雨です。本来なら4月は、春の農作業真っ盛りの季節です。しかし今年は、震災や原発事故でいろんな時間を取られ、農業はお休みになっていました。遅ればせながらジャガイモの植付けから始め、雨が降ったので先週マルチをかけました。実は植えたまま手が回らず、マルチ掛けが遅れていました。その間に雨が降ってくれ、ちょうど良いタイミングになりました。それでも時間が取れなかったので畑の半分もマルチを掛け終わっていません。このまま乾燥してしまうと、元の木阿弥です。

 

今年農業に力を入れるべきか、しばらく迷っていました。目の前の仕事だけで大忙しなだけでなく、原発事故も何とかしたいので、研究所などにいる知人と相談したり、ブログを書いたりするのに時間を取られます。しかし今年の日本の農業生産は、津波の塩害や原発からの避難、放射能放出などの影響で、かなりの打撃を受けるでしょう。昨年は世界全体も農業生産が不振気味で、北海道も不作でした。世界の農業生産が順調なら、日本が食料の輸入に困るまでは行かないと思います。でも、少しでも世界の作柄が悪くなれば、日本が輸入を増やす分だけ海外の貧しい人の食料が無くなることになります。

 

最近の報道によると、大まかな数字ですが、農地の津波被害が2万3000ヘクタール。放射能被害が1万ヘクタールとのことです。このうち水田が3万ヘクタールで、平均収量で計算すると米の減収量は15-18万トンになります。米の総生産量は年間850万トン弱なので、2%程度のことですし、減反田への生産振替も行われます。米の民間在庫が200万トン、政府備蓄も90万トン程度あり、米不足になる心配はなさそうです。しかし既に、作付け制限地域より広い地域で野菜などから基準以上の放射能が検出され、出荷制限が行われています。現在も放射能が放出され続けているので、被害農地が広がったり、生産しても放射能が検出される危険があります。

 

わが家の今年の農業は既に出遅れています。まだ作付け計画も立っていない状態です。その上時間もありません。でも食べ物を作るには時間がかかるので、不足が分かってから作るのでは間に合いません。しばらく悩んでいたのですが、将来の食料不足の可能性があるのに農地を遊ばせるわけにはいかないと思うようになりました。手のかからないものを中心に、何とか収量を増やすよう努力したいと思っているところです。ジャガイモのマルチ掛けの遅れも心配ですが、マルチを掛けなくても芋は出来ます。他の野菜の種蒔きと苗の植付けを優先することにしました。

 

この2週間ほどの間に、野菜の種と、レタス、白菜、キャベツ、ブロッコリーの苗を計200本ほど購入し、父に植付けてもらいました。迷いがあったので、最初はレタスとキャベツを20本ずつ。次は20本40本と、少しずつ増やしたので、いろんな畝にまだらに色々な野菜が植わっています。同じ品種を固めて栽培しないと手入れが大変なので、あまり褒められたやり方ではありません。しかも、家庭菜園よりは多いものの、農業としてはかなり少ない量です。キャベツを100本植えても、15メートルの畝1本にしかなりません。農業としては最低でもこの30倍が最小単位ですが、それだけ植えたのはジャガイモ位です。

 

それでも実は、苗を買っていては採算が取れない規模です。自分で苗を作り、沢山植え付けるべきなのですが、それでは1カ月遅れてしまいます。先週末はネギの苗を800本購入し、植付けました。これもその4倍位は作りたいところなのですが、植付けに割けそうな時間から計算したので少なくなってしまいました。種苗店で本数を確認して買ったのですが、実際に植えてみると1200本以上あり、準備した畝が足りません。植えないと枯れてしまいます。たくさん植えたかったので悪いことではないのですが、時間がありません。あわてて畝を立て、激しい雨の中で植えるしかなく、往生しました。

 

作付け計画も立てないまま、その場しのぎでですが、ここまでで畑の半分位作付けたでしょうか。営農計画が遅れている代わりというわけではないのですが、ネギとジャガイモは、新しい省力化多収農法を試しています。うまく出来てくれるか楽しみです。南瓜や薩摩藷を植えるまではまだ時間があるので、準備して多めに作るつもりです。それ以外に減反田で、鶏の餌にする大豆も作らねばなりません。そろそろ米作りの準備もしなければならないのですが、トラクターの整備も手つかずです。塩田平ではゴールデンウイークは農業ウイークなのですが、わが家は皆さんより半月遅れで、機械整備ウイークということになりそうです。