塩田平便り:稲刈をお休みして来年のための種蒔き

 塩田平から尾根を一つ越えた丸子町では、連日霜警報が出ているそうです。先週ミーティングの後立ち寄ったお店のマスターが話していました。例年なら、塩田平も10月下旬には初霜が降りることが多いので、不思議なことではありません。ただ、今年は昼間の温度が高く、寒さを感じるのは夜の間だけです。この間まで暑い日が多かったのに、突然冬の気配で、秋はどうしてしまったのだろうという感じです。本当は、10月も終わりのこの時期までに、来年のためのの種蒔きや苗の植付けが終わっていなければなりません。幸いこの1週間は雨も降らず、稲刈も少し進みましたが、まだまだ先が見えません。稲刈が終わってから種蒔きでは間に合いそうもありません。稲刈を中断して種蒔きに専念することにしました。

 一番大変なのは麦の種蒔きです。大面積は初めてです。まずトラクターで耕起し、ずっと返してもらっていない播種機を返してもらい、整備して播種機で蒔かないと終わりません。日曜日朝から雨の予報でした。田んぼなので、雨が降るとぬかってしまい、耕起も播種も出来ません。金曜から麦蒔きの準備を始めました。まずは途中までになっていた、麦と、玉葱を植える予定の減反田に弾丸暗渠を引きました。そしてサブソイラをロータリーに換装しました。麦を蒔く予定の減反田を耕します。栽培指針では、深く細かく耕起することになっていますが、土壌構造を壊したくないのと、時間もないので浅く起こします。それでも土があまり荒いと播種機がうまく種を蒔いてくれないでしょうから、2回耕起しました。耕し終わったのがもう日曜日の午前中でした。霧雨が降ったり降らなかったりです。

 幸い播種機も比較的短時間で整備でき、種蒔きを始めることができました。最初の調整に手間取りましたが、雨との競争なので、蒔き始めたら細かいことは気にせずどんどん蒔いて行きます。でも幸いなことに、たまに雨が風で運ばれてくる位で、全部蒔き終わるまで本格的な雨にはなりませんでした。そのまま稲刈に移ろうとしたのですが、直後に雨が本格的に降り出しましました。10月中に麦の種蒔きが終わり、大変ラッキーでした。あとは霜が降りる前に夏野菜の最後の収穫と、ニンニクや玉葱、豌豆の種蒔きを進めなければなりません。状況を見に山あいの畑に行ってみてビックリ。南瓜の葉っぱが枯れています。家の周りは霜が降りてなくても、ちょっと高いところは霜が降りていたのです。南瓜を霜に当てると傷んでしまうので、とりあえず先に南瓜の収穫をしました。

 散々苦労したので、激しく倒伏している稲を刈る方法が大体分かりました。激しい倒伏というのは、稲が根元からべったり寝てしまっています。隣の稲が上に倒れ込んでいると、バインダー(稲刈機)が乗っかった稲も掻き込んでしまい、絡まって機械が止まってしまいます。だから穂先の方ではなく、根元の方から刈るしかありません。幸い倒れた方向はほぼ同じ方向で、植付けた条から直角に倒れていたので、刈り取りやすく助かりました。それでも時間はかかります。まず倒れている稲を引き起こさなければなりません。稲の条にそって、1列ずつ細い棒を差し込み、引き起こします。直径2センチ、長さ2メートルほどの電柵の支柱をを使いましたが、これで比較的簡単に引き起こせました。隣の条の稲の上に乗っているので、そこに少し隙間があり、時間はかかりますが比較的簡単な作業です。

 ただ、隣の条の稲株の間に倒れた茎もあります。これが土の中に沈んでいると、棒では引き起こせません。棒で引き起こせなかった茎は手で起こすしかありません。棒を使えば数株まとめて引き起こせますが、土に埋まっているものは一株単位や、深い場合は1本ずつ起こすことになります。起こした稲株は自分で立っていられないので、傾きます。この方向を揃えてやらねばバインダーでうまく刈れません。倒れる方向は、バインダーの前方か、まだ刈ってない部分の反対側です。そしてここが重要なのですが、稲架部同士が交差すると、バインダーの刈り取り部で詰まりやすいので、きれいに揃えなければなりません。ここまでやっていると、2人掛かりで2時間作業して、20メートルほどを10条しか刈れません。

 手で刈った方が早いように思えますが、刈るだけなら早いのですが、束にして結束するのに刈る以上の時間がかかり、バインダーにはとてもかないません。雨で水分が増え、バインダーを入れるのが心配な部分を父が手刈りしてくれていますが、引き起こしながらバインダーで刈る方が、2倍以上刈れます。倒伏さえなければ、1日で1反刈り終わってしまいます。それがもう延べ7日以上作業して、やっと半分強、バインダーが入れられそうなところは全部刈り終わりました。本当に非効率ですが安全なお米を増やしたいので仕方ありません。これまでは倒伏するようなことは滅多に無かったのすが、今後は倒伏しないよう、作り方に工夫が必要なのかもしれません。

なんと麦の種蒔きが終了

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 来年減反なので、2枚の田んぼで麦を作る予定だったのですが、稲の全面倒伏による稲刈の遅れで手が回っていませんでした。

 10月も終わってしまうので、一昨日から稲刈をお休みして麦作りの準備に入っていましたが、天気予報で今日は雨。最初午後からだったのに午前中からになってしまい、少しでも終わらせようと5時に起きて作業をはじめました。

 トラクターで起こし終わったのが9時。それから初めて使う播種機の取り付けをはじめたので、種蒔きまで辿り着かないと思っていたのですが、3時頃までほとんど雨が降らず、何と2枚とも種蒔きが終わってしまいました。

 あわよくば稲刈も、と思ったのですが、直後から本格的な雨になってしまいました。麦の種蒔きが終わっただけでも大変ラッキーでした。

播種機を整備する

 減反田を耕し終わったので、やっと麦の種蒔きです。今日は朝から雨の予報だったのですが、幸いたまに霧雨が降る位で、5時起きで9時に耕し終わりました。天気はもう少しもちそうです。雨になる前に種蒔きに取りかかりたいところですが、その前に播種機の整備です。泥縄で困ったことですが、大馬力で整備を始めました。

 麦の種蒔きは、大面積になると手蒔きでは大変です。ばら蒔きしてしまえば簡単なのですが、除草ができません。慣行農法なら、除草剤を撒いてしまえばお仕舞いでしょうが、毒を撒きたくない有機農法では、除草しやすいように条蒔きします。

 3年くらい前に中古の播種機を買ったのですが、その時1度も使わないまま人に貸してそのままになっていました。去年大豆を作った時も、播種機があればなあ、と思ったのですが、蒔き遅れそうだったので手蒔きしてしまいました。麦蒔きは大豆ほど簡単ではないので、お願いして播種機を返してもらいました。

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 これが播種機です。

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 トラクターのロータリーの後ろに付けて、砕土しながら種を蒔いて行きます。

 もともとは4連、つまり播種ユニットが4つ付いた4条蒔きの機械です。ただ、4条ですと、条間が最大でも35センチにしかならないので、管理機で除草するには狭すぎます。知人は2連で使っていたようですが、播種時間節約のために、3連にしてみました。友人が外したユニットは畑にシートをかけて置かれていたのですが、残念ながら激しく錆びています。1台付けてみたのですが、回転部が動かず、かなりの整備が必要そうです。残った1台に交換してみたところ、幸い何とかなりそうです。

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 均等な幅にしたいところなのですが、真ん中は播種機構駆動用の車輪が付いていて、ユニットを真ん中には付けられません。幅が狭い方は55センチ離すのが精一杯です。初めて使うので、種がどの程度の幅に播かれるのかもわからないので、これで除草できるか謎です。家にある管理機の幅が60センチで、70センチあれば除草できることは分かっていますが、条間が狭い方が収量が上がります。端の爪を外せば除草幅は少し狭く出来ます。

 播種機を使うのも初めてなので、今回は55センチと60センチの条間にしてみました。トラクターがUターンした時の幅を70センチにすれば、3種類の条間を試すことが出来ます。時間が無いので往復の幅を正確に維持できなくても、70センチなら余裕があります。

 ただ、プラスチック部品があちこち割れています。このままでは種を蒔く前にバラバラになってしまいます。エンジニアリング・プラスチックでしょうが、農機のように力がかかる装置は厳しいようです。もっとも、複雑な機構の播種機が古くなっても動いてくれるのも、固体潤滑や錆びないプラスチック部品のおかげでもあり、あまり文句は言えません。

 いずれにせよ、全く注油されていないようなので、そこら中に注油して、割れた部品はとりあえず紐で縛るなどの応急処置でごまかし、早速テストにとりかかりました。

 2回耕してはありますが、ロータリーでさらに土を細かく砕いたところに種を蒔いて行きます。ロータリーで耕したい深さにすると、播種機が中に浮いてしまい、種が蒔けません。播種機にも調整機構があるのですが、一杯に下げても地面に届かないのです。この春から使っているトラクターですが、譲ってもらった時の状態のまま使っていたのですが、よく見るとあまり良い調整ではありません。3点リンクやロータリー自体を調整し直しました。

 ロータリーの高さを調整する尾輪も播種ユニットに当たるようです。尾輪が無くても、面倒ですが油圧で高さは調整できるので、尾輪は外して、播種機の位置も一番前に変更しました。これで種が蒔けそうです。ここまでで2時間かかってしまいましたが、幸いまだ雨は降ってきません。

 減反田に持って行き、麦の種子を入れて試し蒔きをします。農機は仕事が速くてありがたいし、作業機を付け替えれば色々なことが出来て大変助かるのですが、作業機の交換や調整に非常に時間がかかります。それでも全体の時間は大幅に短縮されるので、文句を言うべきではないのですが、気分的に調整の時間は短くしたくなります。

 実はこの調整が非常に大事です。特に播種量はちゃんと調整しないと、途中で種が無くなってしまったり、大量に余って蒔き直しになったりします。播種ユニットに、蒔きたい量にするにはどうすれば良いか書いてあります。目安にはなりますが、そのまま信用するわけにはいきません。種子の大きさや形状、ユニットの経時変化などで実際の播種量が大きく変わるからです。

 播種ユニットの調整は容量(1反当りのリットル)ですが、麦の栽培基準は重量です。実際の種子で麦の比重を計って計算します。米と同じで、1リットル0.84キロ(150グラムで1合)でした。反当播種量から、トラクターが端から端まで走った時に蒔くべき量を計算し、それぞれの播種ユニットに入れて蒔いてみました。

 1つのユニットは、種を播種機構に送るシャッターを開けた途端にザーッと種が落ちて行ってしまい、あわててシャッターを閉めました。種を押さえるブラシの調子が悪いようです。他のユニットのブラシと交換して、テスト再開です。

 1列蒔いてみて、播種量を調節し、また1列蒔いて調整します。大体大丈夫になったところで、本番に移ります。テスト中に蒔き過ぎで種が無くなってしまったところは、どこまで蒔けたか分かりませんので、芽が出たところで追い蒔きすることにしましょう。