ピーマン組、芽が出たけど……。

 ピーマン組は6日で発芽しました。

左:万願寺とうがらし 右:バナナピーマン

 芽が出て、めでたいなどと、くだらぬダジャレを言っている場合ではありません。写真でお分かりのように、徒長しています。なぜか。5日めで発芽が始まり、芽が80%ほどそろったのは1日後。わずか24時間で、新芽はひょろ長く伸びてしまったのです。

 こんなもやしっ子で、いい苗に育つのでしょうか?

 NHK「野菜の時間」のテキストを見ると、徒長した芽では、しっかりした苗にならず、その後の成長も危ういという意味のことが書いてありました。

 温度を保つためにモコモコに包み込み、そのため光が入らずもやしっ子に。う~ん、加温育苗の最初の難関にぶち当たってしまった。

 

 もう少し暖かくなってから種を蒔き、育苗をやり直すかとも考えましたが、せっかく発芽したものをあきらめる前に、試すことがありました。それは、何か? ジャジャジャーン!

 胚軸切断挿し木法!!

 農学博士、木島利男氏が「プロに教わる家庭菜園の裏技」(家の光協会発行、木島利男氏著)で紹介している、病害虫に強くなる苗づくりの方法です。

 『種の栄養を使って発芽する従属栄養から自分自身で光合成を行う独立栄養への転換期……』に、胚軸を切断して挿し木すると、『微生物が組織内に取り込まれ……生育が促進され、病害虫にも強くなり……また、新しい根を発生させるため、根が活性化され、樹勢が強くなります』というスゴイ裏技です。

 ピーマン系の害虫はアブラムシぐらいで、これはキラキラのテープを張りめぐらすだけで簡単に防御でき、病害虫に悩まされるということはないのですが、アブラムシさえもつかなくなるのなら、それに越したことはありません。いつかはこの胚軸切断挿し木方を試してみようと思っていたので、今回のモヤシピーマンの苗を、頑丈な苗に変身させるには良い機会ではありませんか。

 

 てなわけで、モヤシっぽい苗を、先の細い【マイ園芸用箸】を使って、掘り出してみました。

根っこが長くてビックリ

 真ん中あたりで根っこを切り離す。

切った部分

 芽の方を水に浸すこと約2時間

並んで水風呂に

 土に植え直す。空いた部分には、保険として、新たに種を蒔いた。

徒長部分がなくなり、コンパクトに

芽が出た、ズッキーニ組♪

 今回の加温育苗大作戦の大切な資料として頼りにしているタキイ種苗の「野菜前線」と、最近放送されたNHK「野菜の時間」のテキストによると、ピーマン組は種まきから発芽まで5~10日、ズッキーニ組は3~5日ということです。

 こういう資料って、バカになりませんね。(バカにしていたという意味ではありません)

 すごく正確だなぁと感心させられます。本日、2月12日のマイ育苗器を見れば、一目瞭然。

ピーマン組、変化なし

 ズッキーニ組は芽を出しました。買ったばかりのダイナーは、きれいにそろって発芽。1年前に購入して保管しておいたブラックトスカは、発芽が不揃いです。

(左)ブラックトスカ (右)ダイナー

 種は新しいものを使いましょう、とか本に書いていますが、2年ぐらい冷暗所に保管してあった種でも発芽するぞ~という経験則があります。しかし、古い種は発芽がそろわないことがあるということは今回の大作戦で身に浸みました。

 普通に種まきする場合、なんで発芽が不揃いじゃイケナイの?という疑問を持っていましたが、イケナイという大きな理由を2つ、学びました。

 戸外で種まきした場合:発芽がそろわない→成長が不揃い→発芽が遅れたコたちは、先に芽を出してぐんぐん成長するコたちの日陰になり、ますます成長が遅れる→収穫量が減る。

 加温育苗の場合:発芽後は日光が必要・発芽温度より成育適温のほうが低い→暗く暖かい加温育苗器で先に芽を出したコは必然的にモヤシになる。

 たかがこれぐらいのこと、考えたら分かるやろ!と思われるかもしれませんが、ド素人から少しずつ経験を積んで、コスパフォ値の高い永田農法を確立するという大いなる目的のため、種が何年使用可能かはとても重要な課題であり……(云々云々・・・・・・)。簡単に言えば、私は自分で経験して理由を確かめなければ情報を単純に信じることができない、自力本願型の人間だということです。

 

 発芽したズッキーニのポットはマイ育苗皿ごと取り出して、別なヒーターと一緒にポリ袋に入れ、育てています。

(左)黒線が入っているのがヒーター (右)蘭の棚に仲間入り

 ここで使用しているヒーターは、加温育苗器用に買ったものですが、思ったほど温度が上がらなかったので蘭の保温に使っていました。

 【ピタリ適温】という商品名で、容器を冬場に25度前後に保つことができると説明してあったため、これは良いぞと購入して使ってみると、私が作った育苗容器では、ピーマン組やズッキーニ組の発芽温度に達しないことが分かり、前述のマルチパネルヒーターを急いで買い求めたという次第です。この商品は消費電力が4Wなので、少し考えたら、真冬に室温より容器内を15℃以上も高くするだけのパワーがあるかどうか分かりそうなもの。いくら電気関係に弱いワタクシとはいえ、失敗したと思いました。

 私は洋蘭を趣味としているので、冬場のヒーターはいくつあっても困ることはありません。永田農法だけでコスパフォを算定すれば、今回の失敗は痛手ですが、趣味のお花への出費は1ヶ月2000円までと決めているので、お財布の勘定はしっかり合っています。

 

 ともかく、加温育苗器の心臓部であるヒーター、もっとしっかり考えてから買っていたら、こういう無駄はなかったはず。このブログを読んだ方は、育苗器の大きさとヒーターの出力をしっかり把握してから購入することをお勧めします。

 

加温育苗器を作る(2)

種まきです♪

 【さし芽種まきの土】というのをホームセンターで買い、手作り育苗皿に入れる。深さは7センチ弱。

 表面部分の土はふるいにかけて、細かくしておきました。

 土はぬるま湯を含ませておきます。水道水は冷たすぎて、地温が上がりにくいから、お湯がいいです。こういうとき、私って賢いなぁと感心します(^_^;)。

 次に種を蒔きます。クリーム色の丸い種がお行儀よく整列するように頑張りました。

左:万願寺とうがらし、右:バナナピーマン

 ピーマンととうがらしの種はよく似ていて、区別がつきません。

 

 

 

 

 


左:ブラックトスカ、右:ダイナー

 ズッキーニは小さなポリポットに種まきします。土はピーマンと同じです。

 

 

 

 

 

 

 

 ふるいにかけた細かい土をかぶせます。

左:ピーマン、とうがらし組 右:ズッキーニ組

 霧吹きで表面の土を湿らせる。もちろん、ここでもお湯を使っています。

左:ピーマン、とうがらし組 右:ズッキーニ組

ピーマン、とうがらし組

 手作り育苗器に入れます。

 

 

 

 

 


ズッキーニ組

 その上に網をのせて、ズッキーニ組のポットを置きます。つまり、2階建ての発芽容器というわけ。私って、やっぱり賢いのかも(^_^;)。

 1階のピーマン組が発芽したらズッキーニ組に頭をぶっつけるのではと思われるでしょうが、そこは心配ご無用。上の写真をよく見てください。ピーマン組の芽が伸びるだけの高さはしっかり確保してあります。あったまいいー(^_^;)。

ヒーター登場

 ヒーターを容器に入れます。実際は水滴などでヒーターやコントロール部分を痛めないように、ポリ袋で保護して使用しています。

 

 

 

 

 

夕陽に映える育苗器

 発芽するまでは、完全装備、モコモコに厚着した状態で温度を保ちます。なんせ、この寒い時期に28℃から30℃を維持しなくてはならないから、たいへんです。

加温育苗器を作る(1)

 コスパフォを旨とする私の永田農法、加温育苗器にお金をかけるなんて、トンデモナイ!

 なんでも、身近にあるもので間に合わせるのです!

 間に合わなければ100円ショップへGO!

容器と育苗皿

 大きめの密封容器だけ100円ショップで購入。(105円ですけど・・・)育苗皿に使う不織布とプラスチック容器は家にあったものを使いました。

 

 

 

組み合わせるとこうなります

 肝心の加温部分は、昆虫用の「マルチパネルヒーター」という商品で、設定温度調節式で25度~45度まで設定が可能、1ヶ月つけっぱなしでも電気代は20円ほどという優れものです。消費電力が8ワットですから、火事の心配も、皆無ではないといえ、あまりなさそう。

お値段は割引期間ということで送料込み2100円でした。市販の完成品、家庭用発芽育苗器加温タイプ (愛・菜・花:PG-10)は16800円ですから、手作り加温育苗器が2205円で作れてしまうというのは、すごいことだと我ながら感心してしまいます。

ヒーターを入れた

 実際には、ヒーターに水滴が付かないよう、ビニール袋をかぶせています。

 

 

 


 

 

育苗皿も保温仕様

 育苗皿ももちろん手作りです。こちらはあり合わせの材料を使ったので、コスト0円。

 

 

 

 

 

 できあがり

 

 

 

 

 

 


 

保温材で包む

 発芽まで、昼夜関係なしに28℃から30℃を保つため、家にある保温材を総ざらえ。

 

 

 

 

 

 (左)芽が出たピーマン組 (右)この状態で夜を過ごす

 

お気に入りの毛布

 夜は毛布で保温。

 

 

 

 

 

 


お気に入りの湯たんぽ

 天気の悪い日は湯たんぽまで登場。

 

 

 

 

 

 

最高最低温度計

 温度管理は最高最低温度計で。これは蘭用に持っていたもの。家電量販店で1500円ぐらいでした。

 

加温育苗! 種の調達

 バナナピーマンと万願寺とうがらしの種はネットで注文しました。思ったより安かったのでヨカッタ(*^_^*) 

バナナピーマン、万願寺とうがらし

 ズッキーニの種は、前年にまいた【ブラックトスカ】の残りと、ネットで買った【ダイナー】です。

 ピーマン、とうがらし、ズッキーニの種は、2年ぐらい使えるので、育苗にかける手間を気にしなければ、苗作りから始めるもしくは暖かくなってから直まきするのが、苗を買うより絶対にお得です。

ズッキーニ2種

チャレンジ! 加温育苗!

 トマトやナスの接ぎ木苗はいろんな種類の苗がホームセンターで購入できますが、ピーマンに関しては、一般的なものしか手に入りません。また、ししとうやとうがらしも、選べるほど苗の種類がないのが現状です。

 理由は簡単です。真夏に収穫できる野菜の苗を準備するには、1月~2月の最も寒い時期に種まきして、加温育苗しなければならないからです。例えばピーマンを真冬に発芽させるためには昼夜とも地温25~30℃に保てるだけの設備が必要です。うまく発芽したとしても、日中は27~28℃で管理して、苗が育つにつれ、夜間の最低温度を少しずつ下げて順化させるという、ものすごく面倒なことを75日間つづけなければなりません。

(参考資料:タキイ種苗「野菜前線」)

 反面、どんなに面倒だとしても、加温育苗がうまくできれば、ホームセンターでは売っていない野菜を育てることができます。

 昨年夏はピーマンの栽培に成功し、たっぷり収穫を楽しみました。楽しんだどころか、たくさん採れすぎて、冷蔵庫に保存中、いくつか悪くしてしまいました。つまり普通の緑ピーマン2株と黄色ピーマン1株、赤ピーマン1株の収穫をすべて食べきれなかったということです。いくら美味しいピーマンとはいえ、レタスや人参とは違い、毎日毎日食べ続けると飽きてしまいます。

 そこで今年の夏は、イタリアンのマリネ、和風の佃煮や焼き物にしても美味しい、バナナピーマンと万願寺とうがらしを苗から作ることにしました。

 バナナピーマンや万願寺とうがらしの苗はホームセンターでは調達できません。苗をネット注文することはできますが、苗1鉢につき250円以上もするので、安く・どっさり収穫・ガッツリ食べるというポリシーにはそぐわないのです。だから種まきして、加温育苗して、いっぱい作るしかないということになります。

 

 バナナピーマンは食べたことがありませんが、説明を読んだだけで美味しそうという感じです。

 万願寺とうがらしは伏見甘長とうがらしと並んで、私の好物ですが、お値段が普通のししとうと比べて高いのが難点でした。

 この2種をたっぷり収穫できたら、夏の食卓に楽しみと栄養が盛り込まれる。ついでに、食べきれなくても万願寺とうがらしのプレゼントを喜ばない関西人はいない、つまりお遣い物に使えるという利点があります。

バナナピーマンネットで説明が出ています。

 カロテンやビタミンCが多く含まれる緑黄色野菜のひとつ。

 作りやすくてかわいい円錐形の黄緑色ピーマンで、熟度が進むに従って黄緑色からクリーム色、黄色、オレンジ、赤へと変色して完熟果は鮮やかな赤色になります。果皮は軟らかくて果肉が厚く、ピーマン特有の苦みが少なくほんのりと甘味がありピーマン嫌いの子供にも最適です。糖度がトマト程にもなり、サラダやマリネなどでフルーティな味わいが楽しめます。

   →バナナピーマンの画像

万願寺とうがらしWikipedia より

 京都府舞鶴市が特産地の春の京野菜。果肉は大きくて分厚く、柔らかく甘味があり、種が少なく食べやすいことが特徴で、その大きさから「とうがらしの王様」とも呼ばれている。

 

加温育苗するなら、ついでに・・・。

ピーマンととうがらしを加温育苗するのなら、もうひとつ、私の好物、ズッキーニを育ててみようという気になりました。

 昨年は、5月に種まきして、発芽がそろわなかったため、ホームセンターに駆けつけて苗を購入。

 ズッキーニは人工授粉しなくてはならないので、雄花と雌花が同じ時期についてくれなくては実になりません。

(左)ズッキーニ-株は成長したけど・・・ (右)雌花です

 雄花がなかなか咲かなくて、雌花を受粉させられずイライラし、雌花がつき始めた頃にはうどん粉病に罹患して、株がボロボロになり、何も口に入らないまま処分するという悲劇に終わりました。

むなしく萎れる

 今年は早いうちに種から加温育苗して、時間差攻撃(?)しようというもくろみです。

 4月~5月上旬にかけて、畑に種まきすれば、ズッキーニはあっけないほど簡単に発芽します。でも、予定の株数がすべて同時に発芽・成長しても、受粉できる雄花と雌花はそろいません。

 2月中に発芽させた苗をプランターや鉢で、3月頃から育て始めていたら、人工授粉できる可能性が大きくアップするというわけです。プランターや鉢で育つ雄花は受粉用に使い、雌花は未熟果を収穫して食べることができます。さて、うまくいくでしょうか……。