ハツカダイコンは野菜作りの基礎だそうです・・・けど。

 今を去ることン十年前、ワタクシが両親のモトでフツーに暮らしていた、とっても素直な女の子だった頃、父がマッチ箱と称していた小さな建て売り一戸建ての小さなベランダで始めて作った野菜、それがラディッシュでした。ラディッシュは小さなベランダのプランターですくすくと育ちました。育つにつれ、赤い実が土に盛り上がって膨らんで行く様子を見るのはとっても楽しく、まるで魔法を見るようでした。ぷっくり膨らんだ頃合いを見て、食べてみると、子供だった私の口には辛くて、舌がしびれたような記憶があります。種まきからしか覚えていないので、プランターや土は母が段取りしたのだと思います。

 ラディッシュは「栽培は簡単」と言われる、野菜作り基本のキの野菜であるのだけれど、【なめたらいかんで】というのが本音です。私はプランターでのラディッシュ作りに成功したことがありません。

 まず、大きくするのが大変。実が丸くなるまでに挫折すること多し。大きくなりかけたと思ったら、虫食い(特にアブラムシと青虫の害がすごい)、やっと育ったかと思いきや、実が小さい、何とか丸くなっても、食べると辛いなどなど、みずみずしいラディッシュを朝食の皿にのせるにはまだまだ工夫が必要です。

たいていはこんな調子

 「それはアンタの野菜作りがヘタやから」という方がおられましたら、どうかコツをお教え下さるよう、お願い致します。

 プランターでのラディッシュ栽培にはまだ自信はありませんが、今年3月に畑に種まきしてみました。その結果、永田農法で、畑に植えるなら、おいしいハツカダイコンを作れると確信したので、種まき準備から収穫までをご紹介します。

  先日のNHK野菜の時間では、ラディッシュは野菜作りの基礎と言っていました。確かに、ラディッシュの種まきから収穫までを押さえておくと、永田農法の基本の流れが理解できます。

  種まき前に、土の準備です。

移植ゴテを垂直に入れて、土をサクサク掘る感じで、耕します。永田農法は高畝をたてるのが原則ですが、畑が狭い場合、30センチの高畝は無理です。土を耕して空気に触れさせ、あとは土を盛り上げるだけでも大丈夫だと思います。(永田農法専門家の方はウレシクナイかもしれませんが、しゃーないのです)理想と現実の兼ねあわせですから、完璧を求めず、できる範囲で【永田農法】しましょう。

 私はいつもカキ殻石灰ケイカル(珪酸カルシウム)を併用しています。

 私の最初のバイブルである『永田農法でつくるベランダ・屋上菜園』(永田照喜治氏のご息女である永田洋子氏の著、㈱水曜社発行)にカキ殻石灰とケイカルの使用法が野菜ごとに詳しい割合まで記されています。

 土の容量に対する使用量が袋に書いてありますので、自分のプランターや畑にはどれだけ必要か、一握りとか、手のひら一杯とかという、用具を使わないめやすを覚えておきます。カキ殻石灰は植えた後でも追加できますから、なんでもアバウトな私ですが、めちゃくちゃ多いというのだけは避けるように心がけています。

(左)下から土、カキ殻石灰、ケイカル       (右)板状のものを使う

 カキ殻石灰とケイカルをしっかり土に混ぜ込んだら、板で土の表面をならし、しっかり押さえておきます。この作業は絶対に省いてはなりません。土を押さえておかなければ、水やりするたびにジャーと土が流れてしまいます。ベニヤ板がなければ、フツーの下敷きを扱いやすい大きさに切ったものでもいいと思います。

 2種類の種を蒔きます。といっても、混ぜこぜにするのではなく、赤のすじと白のすじと決めておきます。実の形が丸いか長細いかによって、成長の速度が違うので、混植はよくないと思います。(混ぜる人はいませんよね ^ ^ ; )

紅白のラディッシュ

 板を立てて土に押しつけ、1センチぐらいの深さの溝を作り、1センチぐらいの間隔で種を蒔きます。溝と溝の間隔は、種袋の表示どおりが理想です。少なくとも15センチはあけるほうが日当たりを遮らなくて良いと思います。

(左)種は1センチの深さに              (右)種、クローズアップ

 1センチの間隔は、種が土を押し上げて発芽するのに必要な力を種同士で助け合うため、後の間引きの際に残す芽の根っこを痛めないため、必要最小限必要な間隔です。これが極端に離れているとか、極端に狭すぎるというのは、あまり良い結果につながらないと思います。

 種に軽ーく土をかぶせます。金に糸目をつけないのなら、【芝の芽土】を使うのが良いでしょう。でも、コスパフォを考える(ドケチ?)な私は、畑の土をかぶせます。

指で軽く土をかぶせる

  土全体を手のひらでしっかり押さえます。これも省いてはならない作業です。理由は上と同じ。種にかぶせるのは軽ーく、土全体はしっかりが大切なツボです。

(左)指先で押さえる                 (右)じょうろのハス口は下向き

優しくをかけます。水の勢いが強すぎると、種が流れてしまうので注意します。

 季節によって、ビニールシートで保温もしくは、寒冷紗や防虫ネットで虫よけをしなければならないので、針金のアーチは必要アイテムです。私は蘭の支柱にも使えるよう、緑色のワイヤーを使いますが、アーチだけに使うなら、水色のワイヤーがホームセンターで手に入ります。

針金のアーチをしっかり差し込む

  ビニールシートは、野菜専用のものが市販されていますが、結構なお値段。私はでっかい120リットル用ビニール袋の端をカッターナイフで切って、シート状にして使っています。普通の45リットル用ゴミ袋の場合は、何枚かを重ねるようにしてかぶせれば、大丈夫です。家庭にあるものを最大限に使うのがコスパフォの基礎ですよね。

 結び目をプラスチック製のペグで押さえます。これはホームセンターに売っ ています。お値段は、私が買うぐらいだから、けっして高くありません。ペグでなければ、上記の針金を30センチぐらいに切り、真ん中で折り曲げて、Uの字 にして差し込むこともできます。ビニールシートの留め具として、U字のワイヤーをホームセンターで売っていますが、値段を見て失神しそうになりました。な んで針金をU字にしただけで、あんな価格になるのか、理解に苦しみます。

 ビニールシートの結び目を、ペグの片端で押さえつけるようにします。

(左)両端を縛って、土にグサッ            (右)ペグは狭いところで大活躍

 以前はペグをビニールシートに差し込んでいましたが、ビニールシートも再利用したいので、穴をあけるのはやめました。

 ビニールシートの周りに土をかぶせます。この作業に必要な土を、畝を立てるとき周りに盛り上げておくと、とっても簡単です。

(左)移植ゴテが便利               (右)周りにしっかり土をかぶせる

 移植ゴテでざっくり土を置いたところを踏みつけると、しっかり固定できます。以前はビニールシートの周りにペグをぐさぐさ差し込んでいました。土をかぶせる手間は省けますが、ビニールシートの使い回しはききません。コストをとるか、手間をとるか、その時の状況に応じて、作業の度合いを変えればよいと思います。(手間といっても、この規模だと、時間にして10分も違いません)

(左)スペースがあれば、土を踏みつけて押さえる     (右)できあがり

 これで完成です。畝が長ければ、土台のアーチが3本、4本とたくさん必要になります。その場合、アーチ2本ごと(内側アーチ5本につき、外側アーチが4本)に、シートの上からアーチを差し込み、シートが飛ばないようにするのも忘れてはなりません。でも、我が家の1坪畑では、その心配は無用です。

 種まきの溝を南北にするか、東西にするか、ラディッシュの場合は気にしなくても大丈夫です。葉が茂ってもさほど伸びるわけでなし、互いに成長を阻害する心配はありません。ビニールシートの中で、太陽を浴びて、ほかほか暖まって、育っていきます。

 3月4日の種まきから3日で発芽しました。

芽が出た

 種まきから11日、さっそく間引きの開始です。

(左)間引き前                  (右)間引き後

 この後、約1週間で、もう1度間引きします。

 種まきから27日、やっと赤い実が見えるようになりました。ハツカ(20日)では食べられるほど成長しないようです(^_^;)。

 

可愛い実が見える

 さらに間引きます。最終的に株の間は5センチぐらいにします。株間は畑の日当たり具合に応じて、広くした方がよいかもしれません。多収を狙う私は、いつも密植ぎみにしておき、様子を見ながら間引きます。スペースに余裕があれば、ゆったりした株間の方がよいかも知れませんが、実験する機会はないですねぇ・・・。

株間は5センチぐらい

 土寄せします。移植ゴテを斜めにして、株の列の間に切り込みを入れるような感じで、スーッと何度か引くと、土が掘り起こせます。そのを両側のラディッシュの根元に盛り上げるようにします。

(左)土寄せ                       (右)根元にしっかり土をかぶせる

 土寄せのあと、液肥(住友液肥2号)を与えます。ビニールシートに保護されて、半蒸し風呂状態ですので、液肥を与えるのはこの1回ぐらいで十分です。

 気温が上がってきたらビニールシートははずした方が蒸れなくていいです。シートをはずしてからは、水やりを兼ねて液肥を1週間ごとに与えます。

 

 種まきから42日、そろそろ食べ頃のようです。ラディッシュの実、葉っぱの付け根が2~3センチぐらいで収穫と本には書いてあります。早すぎると辛く、遅すぎると実が割れる(裂果)ことがありますので、最初は2~3コ、大きめのを選んで食べてみてから収穫するのがお勧めです。

 株間が狭く見えるのは、ラディッシュが丸まると太ったからです。

(左)よく太っています     (中)これまた太っています    (右)白い方も収穫できます

 一気には食べられないので、少しずつ収穫します。

(左)このぐらいの大きさで十分おいしい      (右)じゃーん!

 種まきから52日、赤い方は生で食べたり、赤カブの漬け物に変身させたりで、すでに食べ尽くしました。白い方は今日が最後の収穫です。

土の表面から立ち上がってくる

 白いラディッシュは少しずつ収穫しながら、取り立てをおみそ汁に入れていただきました。大根の爽やかな香り、みずみずしい歯ごたえ、うーん、たまりません!!

(左)可愛いミニミニ大根                (右)うまそー

 ラディッシュの栽培、大成功でした(大喝采、拍手の嵐)。

 こうして振り返ってみると、ラディッシュの栽培には、色々な基本的要素が詰まっているみたいです。

 ラディッシュは根っこがふくらむ野菜ですが、葉ものでも、果菜でも、種まきから始める場合はこの方法で行います。ただし、永田農法では苗を植え付ける場合、根っこを切りますので、これについては他の野菜でご説明します。

 

 4月は畑仕事が忙しく、ブログを書くのが後回しになってしまいました。このラディッシュ栽培記録は、種まきから収穫まで、全体を見返して、作業の復習になり、こういうブログの書き方もいいなぁと満足しています。

 次は、プランターでのラディッシュ栽培を成功させるべく、工夫していきたいと思います。乞うご期待!!!

早い者勝ち! 良い苗をGET!

 夏野菜の苗がホームセンターで売り出されています。カラー写真の入ったチラシを見るだけで、ソワソワしてしまう季節です(*^_^*)。

 ホームセンターに行くと、トマト、キュウリ、ナス、ピーマンを始め、とうがらしの種類も色々あります。冬の寒~いときから必死で万願寺とうがらしの加温育苗をしていた私は、見事に育った苗を見つけて愕然としました。今までのワタシの苦労はなんだったの・・・。万願寺とうがらしは6株ぐらい植えたいから、苗を買うとしたら1ポット198円×6で1188円、えーっと・・・手作り加温育苗器の材料費は半分まかなえることになります。コスト的に私の苦労は無駄じゃなかったかな。

 緊急のトピックはトマトの苗についてです。トマト苗の植え付けは、ゴールデンウィークが最適。気温が上がらない時期に買った苗は小さくて育ちが悪いから、4月末ぐらいから購入するのがよいといわれますが、私は遅くとも植え付けの2週間前には苗を買いに行くようにしています。特に永田農法でトマトを育てる場合は、早く苗を購入することをお勧めします。

 理由を挙げていきましょう。トマト苗が店頭に並び始めた時期なら、小さくて健康な苗を選ぶことが出来ます。家庭菜園ブームの昨今、ゴールデンウィークにもなると、良い苗の取り合い状態になります。大勢の人と押し合いへし合いしながら、苗を選ぶのは大変。ド根性を出して苗をじっくり選べたとしても、良い苗は朝一番に来た人がかっさらっていくらしく、とにかく探すのが一苦労です。なによりも、永田農法では根を短く切って植え付けるので、根張りが不十分だと(特に関西の気温では)育たないという危険性をはらんでいます。

 そこで、早めに良い苗をゲットしておき、自宅で一回り大きいポットに植え替え、良い環境で苗を充実させるのが成功への秘訣なのです。ホームセンターで小さなポットに入れられ、窮屈な思いをして2週間過ごした苗と、ゆったりした間隔、大きめのポット、風通しと日光を十分に確保して同じ期間を過ごした苗、どちらが元気一杯か、見るまでもないことです。

 見るまでもないと言いつつ、見てみましょう。

買ってきた苗

植え替え後

 今日、ホームセンターのチラシを見て、朝一番に苗を買ってきました。一回り大きな、黒のポットに【さし芽種まきの土】で植え替えます。ポットの色は、地温を上げるため、黒にします。

 買ってきて、すぐに植え替える暇がなければ、しばらくそのままにしていても大丈夫です。突然冷え込んで、朝霜がかかることのないよう、屋根のある所に置きます。

 我が家はテラスにスモークの屋根をつけているので、日光は強すぎず弱すぎず、よい加減になっています。(この屋根は、蘭のためにつけたのですが、野菜の苗置き場としても最適だといまさらになって喜んでいます。)後は土が乾きすぎないよう、様子を見ながら水やりをします。水やりと平行して、植え替え数日後から植え付けまでの間、住友液肥の希釈液を週1で与えます。これで、安心して他の作業に集中できます。

 さあ、これを読んだら、急いでトマトの苗を買いに行きましょう!!

 ちなみに、この、苗を買ってきてから自宅で大きくして植え付ける方法は、『はじめての野菜づくり12ヶ月』(坂木利隆氏著、(社)家の光協会発行)で学びました。

 いま坂木氏のお名前を書き込んでいて思いだしたのですが、『NHK野菜の時間』4月号テキストに坂木氏が紹介されていました。「野菜は趣味ではない。実益である」という坂木氏の理念は私の【どっさりがっつりコスパフォ】と同じ考え方です。『はじめての野菜づくり12ヶ月』には100種類の野菜の育て方が絵入りで紹介されている、私のバイブル書なので、その著者が野菜は実益だとおっしゃっていることに、なんともいえない驚きと喜びを感じています。

 

 

加温育苗と胚軸切断挿し木法の結果

3月に種まきしてから、手塩にかけて育て上げた苗がどうなったか、見ていただきます。

 前回の撮影から約2週間、小さなポットに移植(鉢上げと呼ぶそうです)して、バナナピーマンと万願寺とうがらしを1つの容器に入れていました。

混合で収まっていた

 

さらに2週間経ち、もう少し大きめのポットに移植しました。そうなると、最初に作った加温育苗器が寿司詰め状態になり、こりゃぁいかん!と泡喰って、100円ショップに駆け込み、苗の成長に合った加温育苗容器をこしらえ、バナナピーマンと万願寺とうがらしを分けて入れました。

バナナピーマンと万願寺とうがらし

 

 こうやって分けて見ると、なんとなく苗の形が違うような、同じような・・・。

バナナピーマン

万願寺とうがらし